2023 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞内cADPR/CD38/TRPM2クロストークと2型糖尿病病態メカニズム
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22K08632
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
吉田 昌史 自治医科大学, 医学部, 准教授 (50528411)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膵β細胞 / cADPR / TRPM2 / インスリン分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、健常人のインスリン分泌第1相低下機序を示し、2型糖尿病発症抑制研究へと繋げる事である。インスリン分泌には「食直後に素早く血中インスリン濃度が上昇」する第1相と、その後に続く第2相がある。初期の2型糖尿病患者は、空腹時血糖は正常にも関わらず食後血糖が上昇するが、その原因の一つは第1相分泌の低下である。インスリン分泌第1相の低下が2型糖尿病発症の要因であるならば、その低下機序を解明し、第1相低下の予防法を示すことは2型糖尿病発症抑制へと繋がる重要な研究課題であるが、解明されていない。これまで我々は、TRPM2チャネルがインスリン分泌第1相形成に重要な役割を果たしている事を報告してきたが、TRPM2経路の異常が2型糖尿病発症に関与するかどうかは不明である。本研究にて解明するべく研究を立案した。2022年度、我々は2型糖尿病モデル動物であるGKラットは、週齢が増すにつれて第1相分泌が低下し、ヒトと同様の過程で2型糖尿病を発症する事を明らかにし、グルコースからcADPRに至る経路の障害が2型糖尿病発症に関与する可能性を見出した。更に、新規糖尿病薬であるイメグリミンはサルベージ経路を活性化し、細胞内NAD+を増加させる事でcADPRを増加させ、cADPRがTRPM2を開口させる事でインスリン分泌を増強する事を見出した。つまりサルベージ経路の活性化はGKラットの2型糖尿病発症を抑制する可能性が考えられたため、2023年度以降その仮説の証明に着手する事とした。サルベージ経路の活性化がGKラットの経口ブドウ糖負荷試験の結果、膵島病理に影響を与えるかどうかの検討を実施するにあたり、まずはコントロール実験を開始した。非投薬群のデータが集まり次第、投薬群での検討を開始し、非投薬群の結果と比較検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に用いている糖尿病モデル動物(GKラット)は外部業者から購入しているが、販売業者の減少により研究に導入可能な週齢での購入が困難な事が多く、計画通りに実験が行えない事が多い。そのため、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は当初の予定よりやや遅れているが、仮説は証明しつつあり、進むべき方向性は間違っていないと判断している。このまま予定通り計画を遂行する。コントロール実験である程度のデータが揃い次第、投薬群での検討を開始し、比較検討する。
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Causes of Carryover |
昨年度までに購入済みの試薬・物品を継続使用した点、購入予定であった試薬を次年度に繰り越した点、倫理的観点から他実験で用いた使用可能な動物を本研究にも併用した事により、実験動物の使用頭数削減と研究費の支出を抑える事ができた点が大きい。次年度に予定通り試薬購入費・動物購入費として使用する。一部老朽化した備品の修理、購入に充てる。
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