2023 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺ホルモン生合成調節機構における硫酸化とその機能の解明
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22K08636
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
吉原 彩 昭和大学, 医学部, 講師 (10439995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 幸一 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (20206478)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 甲状腺 / サイログロブリン / 硫酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、硫酸化が甲状腺濾胞内に蓄積するサイログロブリン(Tg)および甲状腺ホルモン生合成にどのように影響しているかを明らかにし、甲状腺ホルモン生合成調節機構をさらに解明することが目的である。初年度である2022年度は、ラット甲状腺FRTL-5細胞を用いたDNAマイクロアレイの結果から、TSH添加によって変動のあった硫酸化にかかわる遺伝子を抽出し、さらに個々の遺伝子について、real-time PCRおよびWestern blottingを用いて詳細な検討を行った。その結果、硫酸転移酵素の一つであるSult1a1はTSHによって、濃度依存性、時間依存性に遺伝子およびタンパク発現が抑制されることが明らかとなった。2023年度は、FRTL5細胞とラット甲状腺組織を用いてSULT1A1の免疫蛍光染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡にて局在の変化を評価した。その結果細胞質画に存在したSULT1A1は、TSH添加により顕著に発現低下することが確認できた。また、SULTの活性を評価するためにp-nitrophenolを基質としてFRTL-5細胞における硫酸転移活性を評価したところ、TSH添加により活性の低下が認められた。これまでの検討から、甲状腺ホルモン生合成の過程において、TSHがSult1A1の発現を抑制し、硫酸化による甲状腺ホルモンの代謝促進を抑制し、甲状腺ホルモン生合成を調節している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画に従い、研究は順調にすすめられており、甲状腺ホルモン生合成過程において硫酸化が重要な役割をもち、生合成調節の一部を担っていることを証明できる結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
甲状腺ホルモン生合成は、TSHのみでなく甲状腺濾胞内のTgが重要な調節因子であることを、これまでに報告している。2024年度はTgによる硫酸化の調節についても検討を行う予定である。また硫酸転移酵素の遺伝子発現調節機構の詳細を検討するために、ルシフェラーゼアッセイを用いて評価することを検討している。
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Causes of Carryover |
実験計画が順調に進んだため、実験に用いる消耗品の購入費を比較的抑えることができたため、次年度使用額が生じた。次年度はルシフェラーゼアッセイやサイログロブリンを用いた実験を計画しており、費用がかかることが予想される。これらの実験に用いる試薬類や消耗品を購入することを予定している。
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