2022 Fiscal Year Research-status Report
がん関連マクロファージを標的化したCTRP13発現ウイルスを用いた新規治療法開発
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22K08649
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松村 繁 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (60523511)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腫瘍溶解性ウイルス / 腫瘍関連マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
M2腫瘍関連マクロファージ(M2-TAM)を標的とする腫瘍溶解性ウイルスの作出を目指している。本年度は、計画書に記載した予備知見である、CD36の発現レベルを下げる効果についてさらに詳しく検討を行った。補体系分子と相同性を持つCTRP13タンパク質によるCD36の発現調節を2つの違う方法で検証した。以前は、293T細胞にCTRP13を過剰発現させた培養上清を用いていた。そこで、CTRP13-6Hisを293T細胞の培養上清より、Niカラムにて精製し、アッセイに用いた。タンパク質の量を変化させてみたが、以前の再現性は見られなかった。タンパク質の精製自体に問題があったのかもしれないので、次に、CTRP13を安定発現する細胞株を樹立した。この細胞の培養上清を用いて検証してみたが、以前のような効果は見られなかった。CTRP13を治療の分子として用いるのは、少し無理があるのかもしれないと、計画を見直している。一方で、cGAMPやSTINGアゴニストでのCD36の発現量低下は再現性がみられた。またウイルスでの変化もロバストであった。 そこで、CTRP13の代替案として、CD36の脂質結合領域への競合阻害結合ペプチドが報告されていることから、ペプチドを発現する腫瘍溶解性ウイルスに方向性を修正することとしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
CTRP13で見られた効果は、少し手法を変えただけで効果が見られなくなってしまった。これは想定外のことで、構想の中核でもあり、代替案の有効性を早期に検証していく予定である。CTRP13が検証を早い時期に行って気づけたのは不幸中の幸いであった。この再現性の検証に時間と手間を取られて、CTRP13を候補として続けるか否かの判断に時間を要してしまったため。タンパク質精製の精度やiTAMの培養条件にも苦戦した。ここで得られたノウハウを基に、今後迅速に研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
CTRP13に替えて、CD36の脂質領域に結合する競合阻害ペプチドを標的とする。ペプチドを人工合成し、in vitroでiTAMにさようさせ、効果を見たい。また、その時の脂質代謝を検証する。特に、STINGアゴニストと腫瘍溶解性ウイルスにはこだわり、ペプチドを発現するウイルスの作出と、STINGアゴニストの併用療法を最終目標としたい。CTRP13を競合ペプチドに替えて、基本的な研究計画はそのまま、進める予定である。ただし、ペプチドでのCD36に対する効果がロバストでないならば、TAMを標的化する計画そのものを見直すことも考慮している。
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