2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒトES/IPS細胞を用いた副腎皮質・血管分化機構の解明および内分泌学的解析
Project/Area Number |
22K08651
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田浦 大輔 京都大学, 医学研究科, 講師 (10558612)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根 正勝 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40437207)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ヒトiPS細胞 / 副腎皮質細胞 / 副腎発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は研究計画に従い、ヒトiPS細胞からの副腎皮質細胞分化誘導研究において、副腎不全モデルマウスへの移植実験を実施した。副腎不全モデルマウス作製においては、マウスには副副腎が複数存在し、これらの摘出も必要であることから、福岡大学医学部 再生・移植医学講座との共同研究を開始し、副腎不全モデルマウスの作製に成功した。ヒトiPS細胞由来中間中胚葉細胞にSF-1をウイルスベクターにて導入した細胞、導入前の細胞、双方を腎被膜に移植し、細胞塊がどのように変化するかを観察するとともに、生存率、血清コルチコステロン濃度を測定した。今後さらに移植施行回数を増やし、解析結果をまとめる必要がある。 また、in vitroでの検証では、ヒトiPS細胞由来中間中胚葉細胞にSF-1を遺伝子導入することでどのような変化が生じているかをRNAseq解析にて確認した。SF-1導入にて変動した遺伝子の中で特に一つの遺伝子に着目し、この遺伝子に関して強制発現させるためのベクターも構築した。これまで、副腎皮質細胞分化およびステロイド合成においてマスター因子と考えられるSF-1を遺伝子導入することで分化誘導実験を行ってきたが、内因性にSF-1発現を上昇させる、SF-1非導入の分化誘導系についても検討を開始している。 ヒトiPS細胞からの血管細胞分化誘導研究に関しては、その派生研究として、ニコチン添加による血管細胞分化への影響の検討を行い、その後、ニコチン性アセチルコリン受容体が未分化状態のES/iPS細胞に発現していることから、未分化ES/iPS細胞へのニコチン添加の影響に関して検討し、この成果につき論文化した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い、ヒトiPS細胞からの副腎皮質細胞分化誘導研究をin vitroおよびマウスへの移植実験の双方で精力的に進めている。また、血管細胞分化誘導研究からの派生研究であるニコチン添加のヒトES/iPS細胞への影響に関しては論文化することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、ヒトiPS細胞由来ステロイド産生細胞の、副腎不全モデルマウスへの移植実験を実施し、細胞の生着に関して一定の成果を観察できた。ただし、コントロールとしてH295R細胞を移植した際には常に細胞が移植した後も腎被膜にて増殖するのだが、ヒトiPS細胞由来細胞の場合は、常に細胞が生着・生存するとは限らず、移植プロトコルの見直し、さらには移植する細胞の状態に関して、更なる検討が必要であると考えている。 ヒトiPS細胞由来副腎皮質細胞分化誘導の更なる発展のためには、人為的にSF-1導入をすることなく副腎皮質細胞が誘導できるかという点に関して、更に検討が必要である。最近の既報および当研究室でこれまでに見出した治験を合わせ、誘導法の改良に取り組む必要がある。
|
Causes of Carryover |
当研究室所属の大学院生が出産にて一時休学ということがあり、研究計画の一部が翌年度に持ち越された。このために、消耗品にて使用予定であった研究費のうちの一部が次年度使用となったが、その額は少額であり、研究計画自体は順調に遂行できている。
|