2022 Fiscal Year Research-status Report
電位依存性Ca2+チャネルα2δサブユニットを介したGLP-1分泌制御機構の解明
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22K08652
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山根 俊介 京都大学, 医学研究科, 助教 (90582156)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | インクレチン分泌 / GLP-1 / CACNA2D1 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管内分泌細胞株であるSTC-1細胞およびNCI-H716細胞を用いて、CACNA2D1サブユニットのGLP-1分泌における重要性を検討した。GLP-1産生細胞におけるCACNA2D1の発現を確認するため、GFPでGLP-1産生細胞が標識されたGcg-GFPノックインマウス腸管の免疫組織染色を行ったところ、GFP陽性細胞(GLP-1産生細胞)の約50%でCACNA2D1染色陽性を認めた。また腸管内分泌細胞株STC-1(マウス由来), NCI-H716(ヒト由来) のいずれにおいても、PCRおよび免疫染色でCACNA2D1の発現を確認した。 GLP-1分泌におけるCACNA2D1の関与をSTC-1を用いて検討した。長鎖脂肪酸であるαリノレン酸 (ALA) 刺激によるSTC-1からのGLP-1分泌は、CACNA2D1の特異的阻害剤であるガバペンチン存在下で容量依存性に抑制された。またALA刺激によるSTC-1細胞内カルシウム濃度上昇は、ガバペンチン存在下で容量依存性に抑制された。生体でのGLP-1分泌におけるCACNA2D1の関与を評価するため、野生型マウスに対して、ガバペンチンの経口投与実験を行った。コーンオイル経口摂取時GLP-1分泌はガバペンチンの単回投与によって、抑制される傾向はあるものの有意差を認めなかった。また経口グルコース摂取時のGLP-1分泌はガバペンチンの単回投与によって影響を受けなかった。ガバペンチンの7日間連日投与後のコーンオイル経口摂取およびグルコース経口摂取後GLP-1分泌はvehicle投与群と差を認めなかった。ガバペンチンのbioavailabilityから、腸管内分泌細胞におけるCACNA2D1が阻害できていない可能性も考え、当初の予定どおり、腸管特異的CACNA2D1欠損マウスの作出に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたとおり、細胞株を用いたCACNA2D1サブユニットのGLP-1分泌における重要性の検討を遂行できている。また腸管および産生細胞株でのCACNA2D1サブユニットの発現についても再現性をもって確認できている。マウス生体を用いた検討にも着手しており、当初の実験計画に照らして、概ね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Cacna2d1遺伝子のエクソン6がloxp配列ではさみこまれたCacna2d1tm1.1Gfngマウス (ジャクソン研究所から購入済み) とvillin-creマウス (研究室で使用実績あり)、との交配により、腸管特異的CACNA2D1欠損マウスの作出に着手している。必要な技術・資材に関しては準備が整っており、研究の推進に支障はないものと考えている。
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