2022 Fiscal Year Research-status Report
胆汁酸・脂質エステル体産生に寄与する腸内細菌叢同定と生理学的作用機序の探索
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22K08662
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鈴木 光幸 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90449059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成島 聖子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (80578336)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 便中胆汁酸 / 胆汁酸脂肪酸エステル体 / LC/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
糞便中の胆汁酸は、非共有結合の形態で存在するものの、鹸化可能な胆汁酸も存在することが知られている。特に、糞便中で鹸化可能なbile acids (BAs)が容易に測定できないことが問題である。アルカリ処理の有無に関わらず、健康な便のBAプロファイルを比較した結果、全BAsの29.7%(2.1-67.7%)が鹸化可能であることが判明した。特に、アルカリ処理によりイソデオキシコール酸(isoDCA)およびイソリトコール酸(isoLCA)濃度が著しく上昇し、isoDCAおよびisoLCAのかなりの割合がエステル化されていることが判明した。分析標準物質としてisoDCAとisoLCAの一連の脂肪酸3β-アシル結合体を化学合成し、新生児から成人(n=64)までの糞便プロファイルをLC/MSにより分析した。その結果、脂肪酸抱合イソ型胆汁酸(FA-isoBAs)が2歳から成人まで常に存在しており、C16およびC18鎖のFA-isoBAエステルが年齢に関係なく優勢であることも判明した。FA-isoBA濃度は糞便中のFA濃度と相関がなく、FA-isoBAを持たない成人も存在することが示唆された。本研究はヒト糞便中の脂肪酸エステル化胆汁酸を鹸化せずに初めて定量化したことが特筆すべき点である。今後の研究の方向性として、FA-isoBAの宿主生理における役割、消化器・肝臓疾患への寄与、FA-isoBA産生に関与する腸内細菌の同定などを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幅広い年齢層の健常者の糞便中の脂肪酸抱合イソ型胆汁酸(FA-isoBAs)を網羅的に解析し、長鎖脂肪酸(C16およびC18)アシル共役isoBAが糞便中のBAの主な鹸化性画分であることを論文報告することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
宿主生理における脂肪酸抱合イソ型胆汁酸(FA-isoBAs)の役割、消化器疾患や肝疾患への寄与、FA-isoBAsの産生に関与する腸内細菌の同定について、来年度以降に検討予定である。
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Causes of Carryover |
今年度後半に予定していた培養細胞を用いた脂肪酸抱合イソ型胆汁酸(FA-isoBAs)の抗炎症作用の同定に関する研究において、培養条件設定のための時間を要した。そのため、遺伝子解析実験の開始に至らず次年度使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)