2023 Fiscal Year Research-status Report
1型糖尿病のエフェクター機能を反映した抗原特異的T細胞マーカーの開発
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22K08674
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
赤澤 諭 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (50549409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿比留 教生 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (00380981)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 1型糖尿病 / 自己免疫 / 抗原特異的T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は自然発症1型糖尿病モデルであるNODマウスにおいて、IRF4の発現量をリアルタイムに検出可能なレポーターマウスを作製し、膵島局所や末梢血に逸脱した抗原特異的T細胞におけるIRF4発現が、膵島局所病変やT細胞のエフェクター機能を反映しているか検証する.また、膵島抗原特異的CD8+T細胞を過剰に産生するトランスジェニックNODマウス(NOD/8.3)を用いて、IRF4の発現量が自己免疫性糖尿病に与える影響について評価し、抗原特異的T細胞の膵β細胞障害能とIRF4発現の関連について検討することを主な目的としている.これまでIRF4遺伝子欠損NOD/8.3マウスにおける自然発症自己免疫性糖尿病や膵島炎の評価を終了したため、本年度はIRF4レポーターNODマウスの作製過程を中心に研究を進めた.IRF4遺伝子欠損NOD8.3マウスの解析により、膵島炎はIRF4発現用量依存的に規定され、IRF4ヘテロ欠損群で糖尿病自然発症は完全に抑制された.更に、養子移入実験でも活性化したIRF4ヘテロ欠損8.3T細胞移入群では糖尿病発症が抑制された.これらのことから、IRF4発現は膵島に浸潤するCD8+T細胞の分化・増殖に関与し、膵島炎から糖尿病へと進展する糖尿病発症期において、膵島抗原特異的T細胞の細胞障害能に重要な転写因子であることが明らかとなった.NOD受精卵へのマイクロインジェクション法によるゲノム編集によるIRF4レポーターNODマウスについては、長崎大学先端ゲノム研究センターにて現在作成中であり、ドナー遺伝子(全1671bp)のうち部分的(758bp)にドナー遺伝子が挿入されたマウスが得られている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
IRF4レポーターNODマウスの作製において、ドナー遺伝子・crRNAの設計・作製を終了し、長崎大学先端ゲノム研究センターにてNOD受精卵へのマイクロインジェクション法によるゲノム編集を施行中である.現在、ドナー遺伝子(全1671bp)のうち部分的(758bp)にドナー遺伝子が挿入されたマウスが得られており、現在同マウスを用いて未挿入のドナー遺伝子部分の挿入を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、1型糖尿病モデルマウスのNODマウスにおいて、IRF4の発現は膵島抗原特異的CD8+T細胞の糖尿病誘導能に必須であり、膵島炎はIRF4発現容量に依存的に生じることが明らかにされた.今後、他研究機関への協力の下、IRF4遺伝子レポーターNODマウスの作成を遂行し、抗原特異的T細胞におけるIRF4発現が自己免疫性糖尿病の病勢を反映するかバイオマーカーとなりえるか検討を行う方針である.
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Causes of Carryover |
NODマウス受精卵を用いたマイクロインジェクション法によるレポーターマウスの作製に遅延が生じているため。来年度はエレクトロポレーション法を用いたゲノム編集を検討しており、次年度での使用を予定している。
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