2022 Fiscal Year Research-status Report
腸管管腔に産生された新規ペプチド性因子によるエネルギー代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
22K08686
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
吉田 守克 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, オープンイノベーションセンター, 上級研究員 (70393212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸野 重信 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40432348)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腸管 / 管腔 / 生理活性ペプチド / エネルギー代謝 / 栄養吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
過食と消費エネルギー低下により生じる肥満は生活習慣病発症の基盤となり、その治療と予防は社会的にも大きな課題である。ヒトにおけるエネルギー代謝調節は、多くのペプチド性因子によって複雑かつ精巧に制御されている。近年の研究より、腸管の管腔内環境は栄養吸収や免疫応答だけでなく、エネルギー代謝調節にも重要であることが明らかにされている。腸内細菌叢のバランス異常はヒトのエネルギー代謝等と相関し(Ley et al. Nature 2006)、腸管管腔内に産生された液性因子が宿主受容体に作用することにより、肥満の病態や糖尿病の発症に直接的な役割を果たしている。しかし、その分子実体は十分に解明されていない。申請者は現在、腸管にて脂肪吸収に関与する受容体の新規リガンドについて、ラット腸管管腔内より同定し、機能解析を進めている。本研究では同定した新規ペプチド性因子について細胞や個体レベルでの機能解析を行い、新たな栄養吸収・エネルギー代謝調節機構の解明を目指す。 今年度は、同定したペプチドに対する抗体の作製に成功し、特異的なラジオイムノアッセイを構築した。また、組織における新規ペプチドの分子型を決定するため、ラジオイムノアッセイおよび抗体アフィニティ精製を実施した。質量分析計にて解析した結果、管腔にて同定したペプチドと同一の分子型が組織にも存在することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度末に、所属先の廃部に伴う配置転換が行われ、研究環境が変化した。また、配置換えに伴い、本研究に対するエフォートが低下したため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、分担および共同研究者との連携を維持しながら本研究計画を推進する。今年度得た知見をもとに、新規ペプチド性因子の生化学的特性を明らかにする。また、新規ペプチドの薬理学的特性を明らかにするために、①細胞レベルでの評価、②腸管管腔内へのペプチド投与による実験動物での機能評価を実施する。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりやや遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。具体的には、新規ペプチド性因子の生化学および薬理学的特性の解析に遅れが生じている。今後、これら実験計画に関する消耗品費、動物購入費に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)