2022 Fiscal Year Research-status Report
新型コロナウイルス後遺症患者の在宅移植待機を可能とするウェアラブルECMOの開発
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22K08702
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
磯山 隆 杏林大学, 保健学部, 教授 (20302789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 篤志 杏林大学, 保健学部, 講師 (00365214)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ECMO / 肺移植 / 在宅待機 / 新型コロナウイルス / 後遺症 / ウェアラブルコントローラ / METs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は、新型コロナウイルス後遺症患者が肺移植を必要とした際に我が国の平均約3年という長期間の在宅移植待機に適用可能なウェアラブルECMOを開発することであり、本研究期間では特にウェアラブルコントローラの研究に注力する計画である。 本年度はまず、肺移植を必要とする在宅移植待機患者の行動様式に注目することとした。一般的には酸素ボンベの入ったカートを引きながら外出することも可能であるが、ECMOが装着されていると想定すると人工肺、血液ポンプ、コントローラ、バッテリーを携行することとなり携行品の体積と重量は歩行に適さないとの仮説を立てた。 そこで外出時には電動車椅子を使用することを前提条件として設定することとした。研究室で保有する電動車椅子の背もたれ部に機材を搭載するための架台を設計試作し、酸素ボンベの代わりに酸素濃縮装置を搭載可能とした。酸素濃縮装置はバッテリーを標準搭載する携帯可能な製品をレンタルし実際に電動車椅子に搭載テストを実施した。電動車椅子自体のバッテリーは通常走行で約1時間、酸素濃縮装置のバッテリーも約1時間稼働することを確認できたため、在宅待機患者の外出に適していることが確認できた。 もともと自己肺の機能が低下している待機患者にとって歩行で外出することは心肺機能への負担も大きく、健常者においても歩行は3METs程度の運動強度となり酸素需要量も増大する。一方、電動車椅子での外出は着座姿勢であり安静時と同等の1MET程度で済むと想定できる。酸素需要量が少なくて済むことは酸素濃縮装置への負荷も低減し長時間の外出が可能となるメリットも生じることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ウェアラブルコントローラを構成するための超音波流量計を当初購入する計画であったが、すでにウェアラブルに適した小型のトランジットタイム型超音波流量計SONOFLOWを入手できたため、本研究は研究を前進させるために血液凝固時間(ACT)を測定するためのACT測定装置を前倒しで導入し次年度以降の研究の準備を遂行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
電動車椅子をベースとした在宅移植待機患者用ECMOシステムの構想を進展させる。外出時においても電動車椅子により患者の運動強度を抑えることができるため、より小型でウェアラブル可能なECMOシステムを設計することが可能と考える。ウェアラブルコントローラにおいても必要な機能と仕様を決定するために基礎的なベンチテストを実施していく計画である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額はベンチテストをするための人工肺等の購入に充てる計画である。
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