2023 Fiscal Year Research-status Report
プロテオーム・メタボローム解析による乳癌の新規悪性度評価と代謝標的治療効果予測
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22K08707
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
多田 寛 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (50436127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
権田 幸祐 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80375435)
石田 孝宣 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00292318)
原田 成美 東北大学, 大学病院, 助教 (70547413)
北村 成史 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (50624912)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も、引き続き細胞内代謝の制御に関わる「ミトコンドリアダイナミクス」について検討を行った。 臨床検体による検討術;前化学療法を施行した乳癌患者107例の化学療法前後の検体(針生検検体と手術検体)を用いて、免疫染色にてmitochondria biogenesisに関わるDRP-1, p62, Parkinの発現について検討した。DRP-1,p62の発現はER陰性群で高く、Ki67との相関が見られた。化学療法の効果との検討ではTNBCのnon-pCR症例でDRP-1の発現が高い傾向が見られた。細胞株での検討:乳癌の細胞株(Luminal type:MCF7, TNBC:MDA-MB231, HCC38)を用いて、乳癌の術前化学療法に使用されるドキソルビシンを添加し、以下の項目を検討した。 ①ミトコンドリア膜電位:ドキソルビシン投与後、MDA-MB231のみに膜電位の低下が認められ、MCF7, HCC38に変化は認められなかった。 ②Mitophagy(ミトコンドリア分解):MDA-MB231では、ドキソルビシンによってミトンドリア分解が誘発されていた。 これまで、がん細胞は酸化的リン酸化を行わず、解糖系を介してATPを産生するとされていたが、ATP産生に酸化的リン酸化が主として用いられている細胞株(TNBC:MDA-MB231)があり、また薬剤耐性と関連することも明らかになった。臨床検体の検討でも、TNBCのnonーpCR症例でDRP-1(mitophgyのマーカー)が高発現しており、ミトコンドリア機能が化学療法の耐性も寄与することが示唆された。上記を、「Mitochondrial dynamics as a novel treatment strategy for triple-negative breast cancer 」(Cancer Med. 2024)として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroで得られた結果を、論文として発表することでができた。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroの結果をもとに、マウスモデルでの検討へと進める。乳癌細胞株をヌードマウスに移植した腫瘍検体を用いて「ミトコンドリアダイナミクス」がマウス腫瘍内でも再現できるかを確認する。
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Causes of Carryover |
in vivo(モデルマウス)での実験へと進めるため、動物実験に関連する費用を計上した。
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