2023 Fiscal Year Research-status Report
安全性の高い間葉系幹細胞の細胞フリー療法の開発:培養上清の抗腫瘍効果
Project/Area Number |
22K08722
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
米戸 敏彦 東京医科大学, 医学部, 客員講師 (10837628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
善本 隆之 東京医科大学, 医学部, 教授 (80202406)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 培養上清 / 腫瘍増殖抑制効果 / IGFBP-4 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞の培養上清(MSC-CM)中のエクソソームと蛋白質分離後の腫瘍増殖への効果について検討を行った。 ① MSC-CMのエクソソームとそれを除いたCMの腫瘍増殖への効果:MSC-CMを超遠心機を用いて分離後、上清を蛋白質、沈渣をエクソソーム分画に分けて、まず、NanoSightにより粒子サイズが平均100 nmであることや、エクソソームのマーカー分子CD63とCD81の抗体を用いたウエスタンブロット解析より、両者が綺麗に分離されていることがわかった。そこで、ヒト肺癌A549とマウス扁平上皮癌SSCVIIの細胞培養系に両者を別々に加えて、それぞれの腫瘍増殖能の抑制効果への影響を調べた。蛋白質分画では、どちらの腫瘍も分離前と同様に腫瘍増殖を強く抑制したが、エクソソーム分画ではどちらも抑制能が有意に低下した。 ② MSC-CM中のエクソソームmicroRNA解析:上述のMSC-CM中のエクソソームからRNAを抽出し、GeneChip miRNA Arrayを用いて網羅的に発現解析を行ったところ、アレイに用いた6599種類のmicroRNAの内、1046個のmicroRNAが検出された。その中には、hsa-miR-6126やhsa-miR-320、hsa-miR-4484など腫瘍増殖の抑制に関与していると報告のあるmicroRNAも見られた。 以上より、MSC-CM中のエクソソーム中には、腫瘍増殖の抑制に関与していそうなmicroRNAも見られたが、エクソソームよりInsulin-like growth factor binding protein-4などの増殖因子やサイトカインなどの蛋白質が、腫瘍増殖の抑制効果に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト骨髄由来間葉系幹細胞の培養上清(MSC-CM)の腫瘍増殖への効果と作用機序が明らかになってきているので、ほぼ計画の予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果より、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞の培養上清(MSC-CM)による腫瘍増殖の抑制効果にエクソソームがあまり関与していなかったので、2024年度は、当初の予定を少し変更し、MSCの細胞投与の腫瘍増殖への影響とMSC-CMの作用機序について、さらに、詳細に検討する。 ① MSCの細胞投与の腫瘍増殖への影響:これまでの報告より、MSCの細胞投与は、MSC-CM投与とは逆に、腫瘍増殖を促進する可能性が高いことが報告されている。そこで、MSC-CM投与の優位性を示すために、マウス扁平上皮癌SSCVII腫瘍をマウス皮内投与後、腫瘍が触れる位になった時、MSCを静注投与、MSC-CMは腫瘍近傍に皮内投与し、経時的に腫瘍径を測定し、腫瘍形成への影響を比較する。安楽死後、腫瘍より組織切片を作製し抗CD31抗体を用いた免疫組織化学的解析により新生血管数を比較する。 ② MSC-CMの腫瘍増殖抑制効果の作用機序:作用機序として、MSC-CM中のInsulin-like growth factor binding protein-4(IGFBP-4)が、培地の牛胎児血清(FBS、1%)中のInsulin-like growth factor(IGF)に結合しそのシグナルを抑制している可能性が考えられる。そこで、まず、組換えIGFBP-4およびMSC-CMを1%FBSと先に混ぜて1時間保温後、SSCVII腫瘍のin vitro細胞培養系に加え腫瘍増殖への影響を調べる。次に、腫瘍と混ぜて24時間後に細胞溶解液を調製し、IGFのシグナル伝達に関与するAKTと ERK、さらに、IGF受容体(IGF-1Rb)のリン酸化をウエスタンブロット解析により比較検討し、作用機序を明らかにする。
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Causes of Carryover |
使用金額の端数を合わせることができなかったため、次年度使用が生じた。残金は、次年度の消耗品代に加えて使用する計画である。
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[Journal Article] Potent antitumor effects of the conditioned medium of bone marrow-derived mesenchymal stem cells via IGFBP-4.2023
Author(s)
Furusaka Y, Inoue S, Mizoguchi I, Hasegawa H, Katahira Y, Watanabe A, Sakamoto E, Sekine A, Miyakawa S, Umezu T, Owaki T, Yoneto T, Yoshimoto T.
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Journal Title
Cancer Sci.
Volume: 114(6)
Pages: 2499-2514
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Induction of potent antitumor immunity by intradermal DNA injection using a novel needle-free pyro-drive jet injector.2023
Author(s)
Inoue S, Mizoguchi I, Sonoda J, Sakamoto E, Katahira Y, Hasegawa H, Watanabe A, Furusaka Y, Xu M, Yoneto T, Sakaguchi N, Terai K, Yamashita K, Yoshimoto T.
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Journal Title
Cancer Sci.
Volume: 114(1)
Pages: 204-216
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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