2022 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of biliary tract carcinomas arising from patients with pancreaticobiliary malfunction
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22K08728
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
菱木 知郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00375776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 篤志 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (10313024)
照井 慶太 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (70375773)
大塚 将之 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90334185)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膵・胆管合流異常 / 胆管がん / エピゲノム異常 / DNAメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵・胆管合流異常を伴う胆道癌および胆道癌発症前の先天性胆道拡張症患者の胆道組織におけるゲノム・エピゲノム異常の網羅的解析を行い、膵・胆管合流異常 (Pancreaticobiliary maljunction; 以下PBM)を背景とする胆管癌発生の時間軸に沿った分子機構の解明をめざす研究である。PBMは胆管癌発症の重要なリスク因子であり、膵液の胆管内逆流に起因する慢性炎症を引き起こして癌化に至ると考えられている。胆道癌発生の機序について、膵液逆流に起因する慢性炎症に伴うhyperplasia を主体とする粘膜上皮の変化を経て癌化するという hyperplasia-dysplasia-carcinoma sequenceが広く支持されているが、その詳細な分子生物学的機序は理解されていない。これまでに先天性胆道拡張症の胆管において異常なエピゲノム修飾が早期から蓄積していることが示されている。本研究ではその詳細な分子機構の解明をめざす。 令和4年度はまず当研究機関の生命倫理審査委員会の承認を得た上で、診断に用いた検体の余剰検体を用いたゲノム・エピゲノム解析について指針に沿ってインフォームドコンセントを得た。同意が得られた症例については、臨床情報解析担当者が臨床情報を取得した。PBM合併胆道癌症例20例以上、先天性胆道拡張症50例以上が解析可能症例として抽出されている。 これらの症例を対象として病理検体を収集し、病理組織学的検討をおこなった。実際の癌組織および非癌部胆道組織を観察し、癌組織については組織型を病理学的に評価した。非癌部胆道組織については異形成の有無を評価した。先天性胆道拡張症症例についても同様に胆嚢・総胆管を詳細に観察し、異形成の有無について評価をおこなった。 また膵・胆管合流異常研究会の年次会をはじめとする複数の学会に参加し、最新の知見を得ると共に情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象者への同意書を取得したのち、該当症例の病理検体の評価を行ったが、同一検体でも癌含有率や胆管上皮細胞の多い所と少ない所が存在し、Infinium Methylation EPIC arrayおよびWhole exome sequenceに提出すべき領域の評価に時間を要した。特に胆管上皮は検体によっては上皮が脱落していることも多く、解析可能と思われる部位の特定に時間を要した。上記の為、進捗としてはやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
同意書を取得した検体について、解析対象部位を設定し、核酸抽出を行う。検体によってはマクロダイセクションもしくはマイクロダイセクションを要する。核酸のクオリティチェックを行った後に、Infinium Methylation EPIC arrayおよびWhole exome sequenceを行う。Methylation EPIC arrayではBeadChipを使用するが、同時に行えるサンプル数の上限があるため、クオリティが担保された核酸が有る程度そろった時点で解析を行う。
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Causes of Carryover |
令和4年度は生命倫理審査と組入れ症例への説明と同意に想定よりも時間を要した。また、胆管がん症例えdはRNA-sequenceに耐える保存状態の検体が想定していたよりも少なく、あらたに組入れ症例を追加してサンプル整備に時間を要した。このため当初は令和4年度中に胆管がん症例での予定していた全エクソーム解析、RNA-seq、Infinium Methylation EPIC arrayまでを年度内に行うことができなかった。このため、次年度にNGSやアレイを当初の予定よりも多く行う必要が生じ、これらに相当額の助成金使用が必要となることがわかったため。
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