2023 Fiscal Year Research-status Report
新生児腸管切除後のDysbiosisと腸管神経叢・腸上皮形成との関連性と治療戦略
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22K08732
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
内田 恵一 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (30293781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 勇樹 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (10555551)
長野 由佳 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (60892479)
松下 航平 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (70750777)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 先天性消化管疾患 / 新生児 / 腸管神経叢 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、腸内細菌叢に関する研究が盛んに行われており、腸内細菌叢のdysbiosis(細菌叢を構成する菌腫や菌数のバランスが崩れ、腸内細菌叢の多様性が低下した状態)は、炎症性腸疾患や喘息などの免疫・アレルギー疾患の原因となるだけでなく、肥満や消化器癌との関連性も強く示唆されている。さらに、2020年science誌において、腸管神経叢の維持に必要な細菌叢を抗生物質投与で除去すると、腸管神経細胞が減少することが報告された。この研究は、新生児期に消化管手術を余儀なくされた患児における腸内細菌叢のdysbiosisを検討するだけでなく、dysbiosisの程度と腸管神経叢の形成不全や腸上皮の成長不全などとの関連を確認し、さらに酪酸菌や乳酸菌などの投与により、それらの腸管機能不全からの回復が得られるかを検討するという独創的かつ臨床現場においてもすぐに実践可能な研究となりうる。今年度になり,当施設における該当研究の倫理審査において承認が得られたが,当研究において欠かせない多光子レーザー顕微鏡による腸管神経叢の観察は,予め予定されていた手術においてのみ観察の準備が可能となるため,新生児消化管疾患における手術のような緊急手術時には,すぐに腸管神経叢の観察に移行できないという人材的な問題が生じた.また待機的手術で日中での腸管神経叢の観察が可能となる見込みである人工肛門閉鎖術時に切除されるわずかな腸管を用いての腸管神経叢の観察に関しては,セットアップが可能であったが,これまでの研究期間中には,該当症例がなかったため,腸管神経叢の確認ができていないという現状である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
すでに倫理審査で承認が得られている「ヒルシュスプルング病患児における新規生体蛍光観察手法による腸管神経叢の観察と分析」をベースとして,他の新生児消化管疾患における手術切除腸管検体を用いての新規生体蛍光観察手法による腸管神経叢の観察と評価に関して,当施設における倫理審査が承認された.しかし,もともと希少疾患である新生児先天性消化管疾患という背景から,これまでの研究期間においては,該当症例が出ておらず,この新規生体蛍光観察手法による腸管神経叢の観察と解析,またヒルシュスプルング病患児との比較検討などができていない現状である.
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Strategy for Future Research Activity |
新生児先天性消化管疾患は希少疾患であるだけでなく,出産タイミングなどにより,夜間緊急で手術を施行することも多い.しかし現時点では,この研究課題で用いる多光子レーザー顕微鏡を用いた新規生体蛍光観察手法は,日中での使用でのみ,施設で許可されており,夜間でも使用可能な体制を構築する必要がある.また高位鎖肛のように新生児期に一旦人工肛門を造設することになった患児においては,根治術後に人工肛門閉鎖術を行うが,その手術時にも一部の腸管壁が摘出されることがあるため,今後はそのような手術時の腸管摘出サンプルも用いることで,新生児~乳児の腸管神経叢の発達程度についての新知見が得られるよう善処している.
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Causes of Carryover |
(理由):新生児期の消化管と糞便をセットで採取できた症例数が当初の計画よりも少なく済んだため,消耗品費が未使用となった. (使用計画):未使用額が生じたため,新生児の糞便が採取された際には,細菌叢の分析のため,実験費用に使用する予定である。
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