2022 Fiscal Year Research-status Report
Combination therapy of oncolytic virus and anti-GD2 antibody toward effective eradication of neuroblastoma
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22K08751
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 元成 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40546909)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経芽腫 / 腫瘍溶解ウイルス / 抗GD2抗体療法 / ガングリオシド / PDX |
Outline of Annual Research Achievements |
神経芽腫は、集学的治療による治療成績向上を認めたが、とりわけ高リスク症例においては寛解後の再発率が高く、微小残存病変に対する13-cisレチノイン酸を用いた分化誘導療法や抗GD2抗体療法などをもってしても、依然として十分な治療成績が得られていない。しかも、特に小児においては生存率改善のみならず、成長障害や性腺機能障害などの晩期合併症に対しても十分に考慮する必要があるため、単剤の投与量を減量した多剤併用療法が望ましい。本研究は、腫瘍溶解ウイルスの1つであるセンダイウイルス(HVJ)を不活化した粒子であるHVJ-Eを用いて抗GD2抗体療法の弱点を補完することによって、神経芽腫に対して、より合併症が少なく、より抗腫瘍効果の高い新規治療法の開発を目指すものである。 昨年度は、SK-N-SH、SK-N-AS、SK-N-BE(2)、IMR32などのヒト神経芽腫細胞株を用いて、ガングリオシドGD1aやGD2などの発現を液体高速クロマトグラフィー(HPLC)にて解析し、その発現パターンを把握した。さらに、コントロール群、HVJ-E単独群、抗GD2抗体単独群、HVJ-E+抗GD2抗体併用群においてin vitroでの抗腫瘍効果をMTTアッセイにて比較検討したところ、GD2高発現の細胞株は抗GD2抗体に、GD1a高発現の細胞株はHVJ-Eに対する感受性が高いことが分かった。フローサイトメトリーでも同様の傾向は見られたが、各細胞株内におけるGD1aとGD2発現パターンを確認すると、いずれの細胞株もどちらかのガングリオシドのみが発現するような傾向があり、二極化は確認できなかった。よって、抗GD2抗体とHVJ-Eの併用による抗腫瘍効果の増強を確認するのは困難であった。したがって、当初予定していたマウスを用いたin vivoの実験は未着手である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞株は商品の性質上、モノクローナルな増殖を来たした細胞集団であるため、細胞株間のガングリオシド発現パターンを比較するにあたっては、HPLCでは違いを確認できてもフローサイトメトリーでは評価困難であった。腫瘍内不均一性を持つ患者検体もしくは検体由来のPDXを発展させて初めてフローサイトメトリーの有効性が確認できると考えるが、稀少がんであるため、十分なサンプル数のPDX確立が困難であるため、予定していたよりも長い期間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
商品ベースの細胞株のみを用いたモデルだけでは、細胞株ごとのtotalのガングリオシド発現をHPLCにて比較して抗GD2抗体やHVJ-Eの抗腫瘍効果の違いを細胞株間で比較することはできても、個々の細胞株に対する抗腫瘍効果の増強という観点では併用療法のメリットを確認することは非常に困難であると考えた。 そこで、ガイドラインに基づいた神経芽腫に対する化学療法を模倣して、レジメンに含まれる抗癌剤を少量かつ長期間投与することで抗癌剤耐性細胞株の作成を試みることにした。そうすることで、各々の細胞株における細胞間でも性質の違いが生じ、ガングリオシドの発現パターンも異なってくると思われる。また、これは実際の癌治療でも起こりうることであり、既存の化学療法に対する耐性を獲得した腫瘍に対するセカンドラインの治療法開発にも通じると考える。 また、上記の計画と並行して、可能な限り化学療法前後の神経芽腫サンプルを用いたPDX作成も継続し、腫瘍内におけるガングリオシド発現パターンの変化を確認しつつ、抗GD2抗体もしくはHVJ-Eの抗腫瘍効果の違いと併用療法による抗腫瘍効果増強を目指して解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
In vitroの実験系において報告書に記載済の問題が生じたため、初年度に予定していたマウスを用いたin vivoの実験に着手できておらず、当初の予定よりも使用額が大きく異なる結果となった。しかし、その方策も考えたため、今年度はマウスを用いた実験が開始できると考えている。
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