2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K08752
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山田 眞一郎 徳島大学, 病院, 特任助教 (30579884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 裕 徳島大学, 病院, 講師 (50548675)
森根 裕二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (60398021)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎 / 大腸癌肝転移 / 腫瘍微小環境 / 大建中湯 / SAA1 / IL-6 / STAT3 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease: NAFLD)や脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis: NASH)は世界的に増加の一途を辿っており、我が国においてもNAFLD/NASH症例に肝切除を行う機会が増えている。NASH症例における肝転移発生については、増加する、減少するといった両方の報告があり、またその機序についても解明されていない。われわれはまず、B6マウスにwestern dietを給餌することで、NASHモデル作成を試みた。8週給餌では肝脂肪化は認めるが線維化はなく、16週給餌により炎症細胞浸潤や線維化を認め、NASHモデルの確立に成功した。さらにマウス大腸癌細胞を脾注し肝転移モデルを作成したところ、NASH群では腫瘍径・腫瘍個数が対照群に比べ有意に減少していた。さらに肝非癌部のmRNA発現をRT-PCRで測定したところ、NASH群ではSAA1、IL-6、STAT3、MMP9が有意に低下しており、転移を促進する環境が抑制されていると考えられた。本研究により、今後増加するNASH肝転移の切除や術後の診療において重要な知見が得られたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Western diet16週投与によりsteatosis、baloonong、inflammationといったヒトNASHに特徴的な所見があることを確認し、NASHモデル・大腸癌細胞の脾注による肝転移モデルの作成に成功した。NASH群では対照群に比べ腫瘍径が縮小し腫瘍個数が減少しているという知見を得た。さらに、肝非癌部のRT-PCRによるmRNA発現やELISAによるタンパク発現を検討することで、転移が形成されにくい環境が形成されていることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
われわれは漢方薬である大建中湯(TU-100)を投与することで、NASH自然発症モデル(TSODマウス)においてNASHを改善し、肝発癌が抑制されることを報告しているが、自然発症モデルは個体差が大きく、ヒトと同じく高脂肪食投与におけるモデルによる確認が必要である。今回Western diet投与によるNASHモデルを確立したため、本モデルでもTU-100を投与し、NASHや肝転移形成への影響を確認する予定である。仮説として、TU-100によりIL-6が抑制され、肝細胞からのSAA1分泌が減少、MMP9発現が低下することにより転移形成能が抑制されるという機序を考えている。TU-100による効果が確認できれば、今後確実に増加するNASH大腸癌患者への診療において大きな恩恵をもたらすと思われる。
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Research Products
(1 results)