2022 Fiscal Year Research-status Report
シンバイオテックスによる膵癌微小環境改変がもたらす新規複合的癌免疫療法の開発
Project/Area Number |
22K08782
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
川井 学 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40398459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北畑 裕司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00535338)
宮本 篤 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (00756570)
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 学長特命教員(特別顧問) (20191190)
岡田 健一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50407988)
宮澤 基樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90549734)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膵癌 / シンバイオテックス / 腸内細菌叢 / 16S rRNAメタ解析 / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫抑制状態となっている腫瘍微小環境(Cold tumor)を、免疫原性のHot tumorに改変するため、腸内細菌叢に起因する免疫系の変化を活用する。また、腫瘍細胞そのものをワクチン抗原として活用する(Whole-cell-vaccine)ことで、多様な腫瘍抗原に対応する活性化CTLを誘導させる。以上より、シンバイオテックス投与による腸内細菌叢の調節によって膵癌微小環境をHot tumorに改変することで、抗癌剤とXCL1産生whole-cell-vaccineによる腫瘍増殖抑制効果をさらに増強させることによって複合的癌免疫治療を確立する。本研究の目標は、①シンバイオテックス投与による腸内細菌叢調節が腫瘍免疫調節機構にどのように影響を与えるか探索的研究を行い、②シンバイオテックス介入による抗癌剤+XCL1産生whole-cell-vaccine併用療法の抗腫瘍効果増強を証明することにより、臨床応用可能なシンバイオ テックス介入によるXCL1産生Whole-cell-vaccineの開発を核とした抗癌剤を併用した新規複合癌免疫療法のコンセプトの確立することである。今年度は、コントロール群として、シンバイオテックスを投与していない従来の膵癌患者7名を登録(10名登録予定)して、①腸内細菌叢の解析として、次世代シークエンサーを用いて、すべての細菌に固有に存在する16SrRNA領域を対象とする16SrRNAメタ解析(細菌叢解析)によって、腸内細菌叢の系統解析を実施し、②末梢血中単核球におけるCD8+Tcell、Treg、myeloid derived suppressor cell (MDSC)の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、シンバイオテックス投与による腸内細菌の変化が腫瘍免疫調節機構にどのように影響を与えるかの探索的研究を行うために、膵癌手術患者にシンバイオテックス投与による腸内細菌叢の変化がどのように膵微小環境に変化をもたらすかを検討することとしている。しかし、膵癌手術患者は術前抗癌剤治療を行うことがガイドラインとして推奨されるようになった。そのために、本研究も、まずは術前抗癌剤治療前後でシンバイオテックス投与を行い、腸内細菌叢の変化を検討することとした。そして、コントロールとして、シンバイオテックスを投与していない、従来の膵癌患者に対して化学療法が腸内細菌叢に与える影響を16SrRNAメタ解析(細菌叢解析)によって調査する前向き観察研究を現在行っている。このため、シンバイオテックス投与による腸内細菌叢検討の前実験を行っているためやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
シンバイオテックスを投与していない、従来の膵癌患者に対して、化学療法前後における腸内細菌の系統解析を10例になるまで行い、化学療法が腸内細菌叢に及ぼす影響を詳細に解明する。化学療法による腸内細菌叢の変化の検討結果から、今年度は、化学療法施行時にシンバイオテックス投与の必要性を検討する。以下の研究を推進していく。膵癌患者にシンバイオテックス投与による腸内細菌叢の変化抗腫瘍効果の検討。膵癌術前患者(10症例)にシンバイオテックスを術前14日間投与し、投与前後の便の腸内細菌叢の解析と末梢血の免疫学的評価及び切除標本のTMEの免疫学的評価を行う。①腸内細菌叢の解析:次世代シークエンサーを用いた16S rRNAメタ解析による系統解析:次世代シークエンサーを用いて、すべての細菌に固有に存在する16SrRNA領域を対象とする16SrRNAメタ解析(細菌叢解析)によって、腸内細菌叢の系統解析を実施する。②末梢血中単核球の解析:CD8+Tcell、Treg、myeloid derived suppressor cell (MDSC)のFlow cytometryによる免疫表現型解析。③膵癌切除標本のimmunoscore算出によるHot tumorへの改変の評 価:膵癌切除標本のCD3+Tcell、CD8+Tcell、Treg、MDSC、DCの免疫組織化学染色(IHC)解析を行う。immunoscore評価法としてCD3抗体とCD8抗体の免疫組織化学染色によって、腫瘍の中心部と腫瘍周囲の浸潤辺縁部のCD3+Tcell数とCD8+Tcell数について1視野500μm2を複数視野分ソフトウェアを用いて自動計測しimmunoscoreを算出する。対象としてシンバイオテックス介入のない過去の膵癌切除標本のimmunoscoreを算出し、抗腫瘍免疫応答を比較する。
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Causes of Carryover |
本研究の倫理審査承認が遅れ登録開始が遅延したことと、コロナ禍のため膵癌手術患者が減少したため、患者登録が予定通りに進まなかった。このため膵癌患者7例登録したが、糞便及び血液のサンプルは冷凍保存し、糞便の腸内細菌叢遺伝子網羅的解析及び血液検査測定は、10例登録できた時点で行うこととした。このため、物品費用などは次年度に持ち越すこととなった。
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