2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidate spatial and temporal heterogenity using extracellare vesicles
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22K08787
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山田 岳史 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50307948)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / 空間的不均一性 / 時間的不均一性 / 薬剤耐性 / Liquid biopsy |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は細胞外小胞を用いて空間的・時間的Heterogeneityを同定することにより薬物治療に対する耐性獲得メカニズムを明らかにすることである。血中のsmall extracellular vesicle (S-EV)を採取し、腫瘍由来DNAを抽出することにはすでに成功しているため、尿中のS-EVおよび血中のlarge extracellular vesicle (L-EV)の安定した採取法の確立に取り組んだ。 尿からS-EVを採取し、腫瘍由来DNAを抽出しRAS変異を同定することに成功した。電子顕微鏡およびNonoSightで50-150 nmの粒子を確認している。しかし、長期間凍結保存した尿からはS-EVが少量しか採取できず、変異同定率が低下する可能性があることがわかったため、現在保存法を検討中である。血液からL-EVを採取することに成功した。しかし電子顕微鏡で観察すると相当数のL-EVが壊れていることがわかったため、最適なL-EV採取法について検討中である。 S-EVやL-EVから抽出したDNAは血漿内にあるDNA (cell-free DNA: cfDNA) より良質であり、cfDNAからは同定できない変異が同定できるようになった。これまで、組織でRAS変異が同定されない患者の約10%でcfDNAからRAS変異が同定できることを報告してきたが、血中のS-EVからは18.1%の症例でRAS変異が同定された。組織RAS野生型の約80%でのみ抗Epidermal growth factor receptor (EGFR)抗体が奏効することを鑑みると、S-EVを利用することで抗EGFR抗体の効果予測の精度が向上する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述のとおり、すでに尿中のS-EV、血中のL-EV採取に成功しており、本研究課題における第一段階はクリアしたと考えられる。現在は第二段階として破損の少ないL-EV採取法、および尿の最適な保存法の開発に取り組んでおり、本年度上半期のこの課題をクリアして、空間的・時間的Heterogeneityの詳細な検討を開始したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
抗EGFR抗体が投与された患者の血液サンプルは順調に集積されている。新規の多施設研究が今年度中に開始される予定であり、サンプル集積のスピードが増加することが期待される。引き続きサンプル収集に努める。 本研究の主たる目的は薬物治療の効果および耐性化予測であるが、治療により新たに出現したバリアントは治療ターゲットになりうる。HER2の増幅は有望な治療ターゲットであり、ペルツズマブ/トラスツマブ併用療法が有効と考えられている。また抗Epidermal growth factor receptor (EGFR)抗体の投与によりHER2増幅が誘導される症例があることが知られている。S-EVおよびL-EVからRNAを抽出してHER-2増幅が確認できれば、ペルツズマブ/トラスツマブ併用療法が有効な患者が同定できる可能性があるためS-EVおよびL-EVを用いてHER2増幅を同定する方法の開発を試みる。同時にやはり抗EGFR抗体の耐性化に関与すると考えられているMET増幅を同定する方法の開発にも着手する。 安定してL-EV、S-EVの採取が可能となりRAS/BRAF/PIK3CA/EGFRの変異、HER2/METの増幅、が同定でえきるようになったところで、抗EGFRが投与された患者のサンプルを用い検討を開始する。
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Causes of Carryover |
細胞外小胞が血液のみならず尿からも採取できることがわかったため、尿サンプルを収集し、安定した実験ができる方法を定めることに取り組んだ。最適な保存液、保存法がある程度確定できたため、今後は血液と尿の両者を用いて不均一性の同定に取り組む。この間、十分に臨床サンプルを収集できたため、本年度は臨床サンプルの解析のピッチを上げたいと考えている。
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Research Products
(5 results)