2022 Fiscal Year Research-status Report
直腸癌化学放射線療法における遺伝子変異タイプと放射線耐性機構の活性化の相関の解明
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22K08793
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川合 一茂 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (80571942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 聡一郎 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00376443)
野澤 宏彰 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80529173)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 放射線療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
直腸癌に対する術前化学放射線療法施行症例293症例において、M30CytoDEAth染色を用いてアポトーシスの評価を行った。HE染色のみではCR率は10.6%であったが、M30染色において原発巣では9.6%の症例で完全にアポトーシスに陥った癌細胞を認めたため、M30染色で推測されるCR率は20.1%と倍増した。M30染色でCRと判定された症例も、HEでCRと判断された症例と予後は変わらなかった。 一方で腸間膜リンパ節の転移巣ではM30染色にて完全にアポトーシスに陥った症例はわずか0.7%であり、側方リンパ節の転移巣においてもわずか2.0%であった。そのため、原発巣よりも転移リンパ節巣において放射線感受性が低いことが示唆され、遺伝学的に原発巣とリンパ節転移巣で性質が異なると考えられた。 そこで、2010年~2014年の5年間の大腸癌において原発巣とリンパ節転移巣で腫瘍の特性の比較を行った。SnailおよびE-cadherinについて評価を行ったところ、Snailは原発巣、リンパ節転移巣双方で70%と高発現を認め、E-cadherinも70~80%の低発現となっており、両群間で有意差を認める因子はなかった。 Snail低発現群では2年目の肝転移発生率が1年目よりも高く、一方、Snail高発現群では、1年目の発生率が2年目よりも高かった。そのため、大腸癌のリンパ節転移巣におけるSnailの低発現は、肝臓や肺への再発の遅れを示す可能性が考えられたが、放射線感受性に影響すると思われる因子は現在のところ見つかっていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究自体は順調に進展しているが、臨床検体での結果においてまだ放射線耐性の候補となる遺伝子が見つかっていない状況である
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Strategy for Future Research Activity |
今後、検索項目を追加する予定である。
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