2022 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of mechanism by which advanced colorectal cancer progresses EMAST-relating malignancy in hypoxia
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22K08810
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
有田 通恒 東邦大学, 医学部, 助教 (80307719)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | EMAST / 低酸素 / p53 / CRISPR-Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
EMAST腫瘍とその悪性度との相関性を基盤とした進行大腸癌悪性化機構の解明には、臨床をより精緻に再現するEMAST誘導条件を決め、その条件下でEMASTを示す細胞を分取して解析する必要がある。初年度は、培養細胞内でのEMAST発生を生きたまま検出できるレポーター細胞株の作製に着手し、完成まであと一歩である。作製過程で、当初に計画したレポーターの遺伝子構成を変更する必要性が浮上したため、以下に改良点を記載する。 レポーター細胞株は、EMAST配列と蛍光タンパク質 (FP) 遺伝子から構成されるレポーターカセットをゲノムに組み込むことで作製する。レポーターカセットは蛍光タンパク質遺伝子の前にEMAST配列を配置することで、その配列長に応じて後続FP遺伝子の発現のオン・オフが決まる。バリエーションは、配列長に変化が生じれば発現がオンになるOut-of-frame to In-frame (O2I) 型と配列長の変化でオフになるIn-frame to Out-of-frame (I2O) 型とが考えられる。当初は、FP発現がオンとなることでEMASTを検出できるO2I型の方が細胞分取に有利と考えたが、現状のEMAST誘導条件が陽性率数%と低いことに鑑みると、I2O型の方がより広範なEMASTを検出でき感度が高くなるため適している。そこで、EMAST判定用のFPとしてGFP遺伝子を、また、レポーターカセット保有細胞の追跡用FPとしてVenus遺伝子を組み込んだレポーターカセットに改変した。また、I2O型でオフとなった際に明確に判定ができるよう、意図せぬ翻訳開始点からのFP漏出発現を極力抑えられるな工夫も加えてレポーター細胞株の作製を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概要に記載のように、レポーター細胞株に組み込むカセットについて変更が必要な点が複数浮上したため、遺伝子構成を見直して改良を加えた。そのため、最終的な細胞株の樹立には至っておらず、上記の進捗区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
レポーターカセットが作製できたら、速やかに細胞株のゲノムへの組み込みを行う。組み込みには、当初の計画通りCRISPR-Cas9法を用いた遺伝子編集を利用する。並行して、EMAST誘導に対するp53の働きの分子機序に焦点を当てた解析にも着手する。具体的には、野生型もしくは変異型p53の有無により、in vitroでのDNAミスマッチ修復効率がどのように変化するかを調べる。EMAST検出系の構築に先んじてp53機能の解析を行うことで、新たな検出系で評価すべきp53変異を絞り込み、その後の解析の推進を図る。
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Causes of Carryover |
概要に記載したように、手法を一部見直す必要に迫られ、初年度中に次のステップである細胞株ゲノムへの組み込み実験に移行できなかった。そのため、当該ステップにかかる費用が未使用額として残ったが、これは次年度に繰り越した上で、当初の用途である細胞株ゲノムへの組み込み費用として使用する。
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