2023 Fiscal Year Research-status Report
末梢血・門脈血中microRNA解析による臓器別転移機序の解明と個別化治療の開発
Project/Area Number |
22K08823
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 秀典 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (90601120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 省吾 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (30452436)
富丸 慶人 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70528570)
山田 大作 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60571396)
和田 浩志 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 消化器外科 副部長 (00572554)
秋田 裕史 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 消化器外科 副部長 (70528463)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膵癌 / 肝転移 / 肺転移 / micro RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で検証を目指している仮説は「膵癌の肝転移・肺転移の成立を特徴付ける分子生物学的メカニズムを明らかにすることにより,それぞれの転移の特徴を考慮した効果的な治療法・予防法が開発できるか」である.上記仮説の検証のために,これまでに以下の研究・実験計画を遂行中である 術後肝転移症例(n=4),肺転移症例(n=4),無再発症例(n=4)における手術時の末梢血と門脈血からexosomeを抽出し,exosome内miRNA microarrayを施行した.その結果,門脈血において肝転移,肺転移症例で発現が上昇しているmiRNAをそれぞれ18,31種類同定した.これらの内,肝転移のみに認められたものは9種類であった.末梢血において肝転移,肺転移症例で発現が上昇しているmiRNAはそれぞれ11,20種類であった.これらの内,肺転移のみに認められたものは14種類であった.これらの内から,肝転移症例の門脈血exosome内に特異的に発現が上昇していたmiR-X(知財が絡むため伏せています)に着目して,その生物学的機能を解析中である. これまでに評価できている項目は以下の通りである.①miR-Xを過剰発現させた膵癌細胞株(MiaPaCa-2,PSN-1,Panc-1)において増殖能の上昇は認められなかった,②miR-Xを過剰発現させた膵癌細胞株はEMT様変化を来しており,遊走能・浸潤能の上昇が認められた,③in vivoの検討ではBalb/c nu/nu miceの脾注による肝転移モデルにて,miR-Xを過剰発現させた細胞株で肝転移数の大幅な増加が認められた. 現在,尾注による肺転移モデルでの肺転移の検討,当該miRのターゲット(mRNA,蛋白レベル)の詳細な検討,並びに肝・肺転移臨床サンプルにおけるmRNA・蛋白発現の検討に移行している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は以下の3つのパートに分けて進捗が管理されている:①臨床サンプル(門脈血・末梢血)を用いた候補miRNAの選定;②同定されたmRNA/miRNAの肝・肺転移巣の切除標本における検討;③in vitroの実験によるこれらの遺伝子の機能解析を通して,肝.肺転移の成立に特徴的なメカニズムの解明. これまでの実験・研究により,臨床サンプルを用いた候補miRNAの選定は終了,②肝・肺転移臨床サンプルの検討は進行中,③in vitroの実験は80%程度が終了,加えて④in vivoの実験による検証も進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(2024年度)は肝・肺転移巣臨床サンプルを用いた実験を病理細胞診断科のサポートの下,進める予定である.in vitroの実験については実験としてはユビキチンアッセイとLuciferase reporterアッセイの施行を予定しており,それによって完了する.in vivoの検討については動物実験から得られた肝転移巣,肺転移巣におけるmRNA・蛋白の検証をPCR,免疫染色にて施行する予定である. それらを踏まえて,本年度で残りの研究過程と研究のまとめを行うことは十分に可能と考えられる.
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Causes of Carryover |
一部の実験の順序を2023年度と2024年度で入れ替えたため,実験に伴う物品費の支出が変更となった.次年度に計画された実験は終了見込みである.
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