2022 Fiscal Year Research-status Report
新規蛍光プローブPIDを用いた蛍光ナビゲーションによる次世代内視鏡手術の開発
Project/Area Number |
22K08838
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
亀井 尚 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10436115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷山 裕亮 東北大学, 大学病院, 講師 (00622987)
小澤 洋平 東北大学, 大学病院, 助教 (10757123)
佐藤 千晃 東北大学, 大学病院, 講師 (60646800)
岡本 宏史 東北大学, 大学病院, 助教 (80732487)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 蛍光計測 / 術中ナビゲーション / 消化管クリップ / リンパ流観察 / 胸管描出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「蛍光ナビゲーションによる次世代内視鏡手術」を開発することを目的としている。ICGをはじめとするこれまでの蛍光プローブは蛍光強度が弱く、内視鏡手術への応用は限られていたが、新規の蛍光物質PIDはナノレベルの粒子で蛍光強度が高く、退色もほとんど認めない。これを用いて2022年度は以下のように研究を進めた。1.これまでPIDを様々に担持させた消化管クリップを開発し、改良してきたが、シート状のPIDを担持させたクリップ を試作したものの蛍光シグナルが安定しなかった。クリップの軸に接着剤とともに担持させる形式が蛍光強度も強く、簡便で安定していることを明らかになった。これまでの検討で特に急性毒性や消化管粘膜への影響は認めていないことから、より大量のPID 粒子を担持させてもおそらく問題がない。多量のPID 担持を可能にする条件を検討し、改良クリップを開発中である。2.ブタ胃粘膜にPIDを局注しそのリンパ流を蛍光観察した。その結果、リアルタイムにリンパ管に沿って蛍光観察が可能であることを確認した。最終的にはいわゆるセンチネルリンパ節にPIDは集積し、摘出したリンパ節内でも蛍光シグナルは十分保たれていた。術中リアルタイムのセンチネルリンパ節診断ンも応用可能である。3.ブタの鼠径部リンパ節内にPIDを注入し、胸腔内の胸管の蛍光観察を行ったが、現時点で有効な観察術野を得ていない。様々な条件検討が必要であることが判明したことより、注入部位やプローブの量、時間経過の影響等について検討を重ねている。胸部外科手術において、胸管の術中視認は副損傷、乳び胸の回避に有用と考えられ、実臨床での応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に行うべき実験は概ね予定通り行うことができたが、コロナの影響があり、実験の検証回数が不足している。消化管クリップやリンパ流観察はほぼ予想した通りの結果が得られている。一方、胸管の描出など当初予想した結果がでていない部分については、今後の条件設定の検討項目や課題が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光消化管クリップの臨床応用を念頭に、蛍光腹腔鏡により様々な条件下での観察と同時にクリップの最終形を完成させる。PID 担持方法についてはさらに検討を加え、より効率的に蛍光シグナルを観察できる形を検討する。リンパ流解析は局注後の時間経過、リンパ節滞留時間などのデータを収集し、食道、胃、大腸それぞれで最適条件を得る。胸管観察は鼠径部ではなく、腹腔内リンパ流、乳び糟そのものに局注などの試みを行う。それらを統合することで、蛍光内視鏡下手術システムの発展が期待される。
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Causes of Carryover |
(理由)当該年度にまだコロナ禍による実験制限があり、必要なPID、クリップ、大動物関係の費用が掛からなかった。 (使用計画)2023年度は、実験に使用するPID、およびクリップの数量が多く必要とされる。また、、生存実験を含む動物実験も繰り返し行う必要があるため、 その購入を行う予定である。
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