2023 Fiscal Year Research-status Report
食道癌術前化学療法の治療効果予測を目指したNQO1遺伝子多型の臨床的意義の解明
Project/Area Number |
22K08840
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
石川 卓 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (70586940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗岡 悠介 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00769391)
赤澤 宏平 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (10175771)
廣瀬 雄己 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10737365)
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
市川 寛 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50721875)
小杉 伸一 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (90401736)
加納 陽介 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (90745580)
須貝 美佳 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10772030)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 食道癌 / 術前化学療法 / NQO1 / 免疫組織化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「食道癌におけるNQO1遺伝子多型C609Tの臨床的意義を明らかにすることで、食道癌術前化学療法最適化の科学的基盤を確立すること」である。本年度は食道癌術前化学療法症例におけるNQO1遺伝子多型の臨床的意義を明らかにすることを目的に実験を行った。 食道癌術前化学療法症例83例を対象とした。切除検体の非腫瘍扁平上皮におけるNQO1タンパク質発現を免疫組織学にて評価し、臨床病理学的因子との関連について検討した。実験の条件としては、10 mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)にて抗原の賦活化を行い、抗NQO1抗体(1:100 dilution, ab80588, abcam,Cambridge, UK)は4℃にて一晩反応させた。NQO1は非腫瘍扁平上皮の基底細胞や血管内皮細胞に発現しており、染色強度によって完全な欠失、低発現、高発現の3パターンに分かれることが明らかとなった。過去の報告から、欠失例はNQO1遺伝子多型C609TのC/C型であると判断した。欠失例と低発現を陰性、高発現を陽性と定義した。 NQO1陰性群は陽性群と比較して化学療法前後の壁深達度低下を認めた症例の割合が有意に高かった。組織学的治療効果Grade 3の割合は2群間に有意差はなかった。5年無再発生存はNQO1陰性群は陽性群と比較して有意に良好であった。多変量解析では、NQO1陰性、リンパ管侵襲陽性、感染性合併症が独立した再発予後規定因子であった。 非腫瘍性扁平上皮のNQO1発現が低下している食道癌患者では、術前治療の効果が比較的高く、根治切除後の予後は良好である。NQO1は術前治療と根治切除後の再発予後予測に有用なタンパク質である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究内容を学術論文として投稿しており(2024年度に掲載予定)、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究結果について学術集会での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
学会参加が少なかったため若干の次年度使用額が生じた。翌年度分の助成金と合わせて、今後の学術集会への参加費、研究補助の人件費等に充当する。
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