2023 Fiscal Year Research-status Report
ピロリ菌の病原性発現におけるファージエピソームの関与機構の解析
Project/Area Number |
22K08875
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
前田 広道 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (20437734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 茂展 高知学園大学, 健康科学部, 教授 (00190439)
長崎 慶三 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (00222175)
花崎 和弘 高知大学, 医学部附属病院, 特任教授 (30240790)
高橋 迪子 高知大学, 医学部, 特任助教 (40868189)
竹内 啓晃 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (90346560)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ピロリ菌 / ファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
ピロリ菌に感染するバクテリオファージ(ファージ)は、他の菌種に感染するファージと異なり数が少ない。増殖活性が確認できるものとしては、世界で4種しか報告されておらず、それらはすべて単一のファージグループ genus Schmidvirusに属している。その稀少さのゆえに、そのライフサイクルはほとんど明らかとなっていない。本研究では、研究代表者らが分離した2種のSchmidvirus KHP30およびKHP40のライフサイクルの解析を進めている。これらのファージは、形態とDNA配列は相互に類似しているものの、DNAゲノム相同性は比較的低く、同じSchmidvirus に属しているが、相互に別種であると考えられている。 これらは、それぞれピロリ菌株NY43とKMT83の培養上清中に自然誘発されることから、これらのファージは、ピロリ菌細胞の中では、宿主菌のDNAに挿入された状態(溶原化状態)、あるいは挿入されることなくエピソームとして存在している状態(偽溶原性状態)にあると予想される。また、前の研究でNY43株の単一コロニーを行なうと、その90%でDNAを失うことが示されていた。しかし本研究においてKMT83株において単一コロニー分離を行なっても、ファージDNAが脱落する傾向は観察されなかった。そのため、これらのNY43株およびKMT83株の細胞の中には、ファージDNAは共存しているものの、その存在様式はかなり異なるのではないかと予想された。そのため、これらのファージのライフサイクルを解明するために、NY43株およびKMT83株の全DNAを抽出し、次世代シークンサーにより全塩基配列を解読し、解析を行なっている。その結果、ピロリ菌株内の、KHP30 DNAとKHP40 DNAの存在様式に大きな相違があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エピソーム保持機構に関連する研究を実施し、ピロリ菌株内の、KHP30 DNAとKHP40 DNAの存在様式に大きな相違があることを明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
ファージエピソームのピロリ菌病原性への関与メカニズムを解明するため、細胞内エピソームが菌体の増殖能、運動性および胃への定着能に及ぼす影響の検討を行う。
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Causes of Carryover |
研究は計画に沿って進行したが、予定よりも人件費が必要となった。一方で物品の購入は予定よりも少なく進んだ。次年度以降、研究計画に沿って、必要な物品の購入と研究の推進、情報発信を行う予定である。
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