2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel therapies by regulating epithelial and mesenchymal features of pancreatic cancer
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22K08882
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
石渡 俊行 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (90203041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 紀彦 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (80639063)
進士 誠一 日本医科大学, 医学部, 講師 (80409193)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膵癌 / 上皮間葉系形質 / 糖鎖 / 3次元培養 / 膵星細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌の大部分は膵管癌(腺癌)であるが、患者個人によって細胞形態や機能が異なっており、この多様性(heterogeneity)が早期診断が困難なことや、抗癌剤に対する抵抗性に関与していることが考えられる。近年、我々はヒト膵癌培養細胞株にはE-cadherin高値/Vimentin低値の上皮系細胞株と、Vimentin高値/E-cadherin低値の間葉系細胞株が存在することを発見した。上皮系と間葉系の膵癌培養細胞株は低接着プレートを用いた3次元培養で、培地中に形成される細胞塊のスフェアの形態や、細胞の増殖能や浸潤能などの細胞動態が異なっていた。さらに、それぞれの細胞株のスフェアに対して、有効な抗癌剤も異なることを明らかにした。上皮系および間葉系の膵癌細胞株のスフェアについて細胞表面に局在する糖鎖の特徴をレクチンアレイで検討したところ、上皮系と間葉系のスフェアでは、糖鎖の発現パターンに明瞭な違いがみられた。次に間葉系の2種類の膵癌培養細胞株に、上皮系へのRNAスプライシングを促進するepithelial splicing regulatory protein 1 (ESRP1)を遺伝子導入し、安定発現株を作成した。また、ヒトの膵癌組織において癌細胞の増殖、浸潤動態に関与することが報告されている間質細胞の膵星細胞と、上皮系または間葉系膵癌細胞の3次元共培養を行ない、培地内にスフェアの形成を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上皮系と間葉系の膵癌培養細胞株の特徴を解明することを目指しているが、その中で細胞膜に発現する糖鎖のパターンに違いがあることを明らかにすることができた。間葉系の膵癌培養細胞株の形質を、ESRP1タンパク質の作用により上皮系に近づけることができれば細胞動態を変化させ、抗癌剤の効果を高められる可能性がある。膵癌培養細胞株と膵星細胞の3次元共培養により、スフェアが形成されたことから生体内に近い環境をin vitroで再現できる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上皮系と間葉系で、それぞれ増加している糖鎖の同定と糖転移酵素について検討する予定である。ESRP1の過剰発現細胞株を用いて、接着状態と3次元培養での細胞動態の変化と抗癌剤の有効性を確認する。膵癌培養細胞株と膵星細胞の3次元共培養により形成されるスフェアの形態、機能的な特徴について検討する。
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Causes of Carryover |
予定していたよりも安定発現細胞株の作成などの実験が順調に進んだため次年度使用額が生じた。これらについては、次年度の実験を行なうための物品費などの費用に充当する計画である。
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Research Products
(1 results)