2022 Fiscal Year Research-status Report
大動脈瘤におけるマクロファージAIM炎症機構の解明と治療法の開発
Project/Area Number |
22K08932
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
寺澤 幸枝 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50566990)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 裕司 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378221)
緒方 藍歌 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (70718311)
六鹿 雅登 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (80447820)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 大動脈瘤 / 炎症 / マクロファージ / アポトーシス / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化の終末像である大動脈瘤は、破裂すると救命が困難な疾患であるため、治療は予防的人工血管置換術である。しかし、この外科治療は侵襲が大きく、その一方で確立された内科的治療法はない。研究代表者らは、大動脈瘤に対する新たな低侵襲な治療法として間葉系幹細胞(MSC)治療を試みてきた。その結果、瘤部位に浸潤した炎症性(M1) および 抗炎症性(M2)マクロファージが、病態メカニズムの中心的役割を果たしていることを示してきた。動脈硬化では、マクロファージ産生因子Apoptosis inhibitor of macrophage (AIM)の上昇によるアポトーシス抵抗性を介した慢性炎症の増悪が知られているが、大動脈瘤においてAIMがどのように寄与しているのかは不明である。本研究では、大動脈瘤におけるAIMの炎症病態への寄与を解明するとともに、AIM中和抗体を用いて大動脈瘤治療効果を検証しAIMが新たな治療標的となりうるかを明らかにする。 本年度では、大動脈瘤モデルマウスを用いて抗AIM抗体による瘤発症抑制効果について検討した。apolipoprotein E 遺伝子欠損マウスにAngiotensin II投与開始とともに、抗AIM抗体を毎週腹腔内投与した。4週間後に屠殺し評価した。比較対象群には抗IgG抗体を用いた。抗AIM抗体群では大動脈径拡大が抑制されたが、瘤発症率に差はなかった。M1マクロファージ浸潤抑制、elastin分解抑制、炎症性サイトカイン(IL-6, TNF-α)の低下がみられ、抗AIM抗体により炎症制御により大動脈瘤径拡大を抑制する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験計画の通りに進んでいるため、おおむね順調に進展していると考えた。
|
Strategy for Future Research Activity |
大動脈瘤治療効果の検討を行う。大動脈瘤モデルは、6ヶ月齢以上のapolipoprotein E (apoE) 遺伝子欠損マウスに、皮下埋植の浸透圧ポンプから1000ng/min/kg Angiotensin-II (ATII) 4週間持続注入により作成する。ATII持続注入4週間後においてエコーで大動脈瘤形成を認めたマウスに、AIM中和抗体を毎週(4,5,6,7週)投与し、8週間後に屠殺する。Controlには抗IgG抗体を用いる。エコーで経時的(0, 4, 5, 6, 7, 8週)に大動脈最大短径を測定する。8週間後で屠殺し、肉眼所見、顕微鏡下瘤径測定、組織学的評価(HE染色、Oil red O染色、Elastica van gieson (EVG)染色)、免疫組織学的染色評価(AIM、脂肪細胞; perilipin A、炎症性マクロファージ M1MF; iNOS, Mincle、抗炎症性マクロファージM2MF; CD206)、生化学的評価としてELISAによる瘤組織中タンパク発現量定量測定(AIM, IL-1β, IL-6, IL-10, MCP-1, TNF-αなど)およびMMP-2,-9酵素活性測定を行う。
|
Causes of Carryover |
動物実験における投与条件検討で多くの試験試薬やディスポーザル用品が必要であると計画し購入費を計上したが、単回投与と隔週投与の2条件だけで有意な結果が得られたため、物品費の使用額に差が生じた。次年度では、引き続き動物実験で治療効果とメカニズム解明を行う予定であるため、評価のための試験試薬や動物購入費や実験動物施設利用費として使用する予定である。また、成果報告として論文の外国語校閲や投稿料として使用する。
|
Research Products
(2 results)