2022 Fiscal Year Research-status Report
非小細胞肺癌における腫瘍関連好中球浸潤の分子メカニズムとその臨床的意義の解明
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22K08979
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
池田 公英 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (20448525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千場 隆 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 客員講師 (30897682)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肺癌 / 好中球 / Ly6d |
Outline of Annual Research Achievements |
非進行非小細胞肺癌の標準治療は外科的切除であるが、患者の多くが術後に再発をきたす。従って、術後再発のメカニズムを理解し、コントロールすることは非小細胞肺癌治療のために必要不可欠である。近年、腫瘍中の好中球 Tumor-associated neutrophil(TAN)が腫瘍の転移や再発に重要な役割を担っていることが明らかになりつつある。我々のグループは、肺癌マウスモデルの作成を通じてLy6ファミリーの一員であるLY6Dが腫瘍細胞に高発現していることを発見し、実際の患者組織検体においてもLY6Dが発現していることを報告してきた。さらに、公開トランスクリプトームデータベースの解析より、LY6D高発現群では好中球の活性化に関わる遺伝子が活性化していること、LY6D高発現腫瘍にはより多くのTANが浸潤している傾向を見出した。これらの知見から、LY6D発現は好中球の活性化や浸潤に関与し非小細胞肺癌の転移再発に寄与している可能性を考えた。 本年度は腫瘍中の好中球浸潤を解析するために種々の免疫細胞、線維芽細胞、腫瘍マーカーを同一スライドで検出できるマルチプレックス免疫組織染色法の条件検討を行った。また、染色・撮像した画像を解析する解析パイプラインの構築を行った。さらに、免疫細胞浸潤におけるLy6dの機能を解析するために、Ly6dを発現する細胞がEGFPで蛍光標識され、Ly6dを任意のタイミングでノックアウトできるLy6dコンディショナルノックアウトマウスの作製に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Multiplex免疫組織染色の手法を確立し、好中球を含む種々の免疫細胞、線維芽細胞、腫瘍を同一スライドにて解析できるプラットフォームを樹立した。また、生体におけるLY6Dの機能を詳細に評価するためにLY6Dコンディショナルノックアウトマウスの作成に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
LY6Dをコンディショナルにノックアウトできるマウスを用いて、LY6Dの好中球浸潤における役割を生体内で評価する。また、RNAシーケンシングによって、LY6Dの下流で働く分子シグナルの同定を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた消耗品と旅費を使用しなかったため、次年度で合算して使用する見込み。
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