2022 Fiscal Year Research-status Report
CTC-chipを用いた悪性胸膜中皮腫における循環腫瘍細胞検出の有用性
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22K08988
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
松宮 弘喜 産業医科大学, 医学部, 助教 (50863784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 文啓 産業医科大学, 医学部, 教授 (10283673)
小山 倫太郎 産業医科大学, 医学部, 助教 (70894088)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 循環腫瘍細胞 / 悪性胸膜中皮腫 / CTC-chip / 凍結PBMC |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は悪性胸膜中皮腫の診断と治療効果に関連するバイオマーカー、特に末梢血液中に存在する微量な腫瘍細胞(circulating tumor cell: CTC)を用いたバイオマーカーの検索を目的とする。 我々はこれまでの研究で、微小転移の指標としてCTCに着目し、マイクロ流路に基づくCTC検出系CTC-chipシステムを完成させ、悪性胸膜中皮腫における高感度なCTC検出、捕捉数による予後予測などの臨床的意義を証明してきた。 CTCの分離には、血液サンプルの採取後に迅速にCTC検出を行う必要があり、血液サンプルを固定できる採血管を用いても数日以内に行う必要がある。このような制限から、これまで他施設で得られたサンプルや過去の保存検体でのCTCの解析をすることは困難であった。末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cells: PBMC)は血液から密度勾配で分離したものであり、CTCの濃縮が期待でき、かつセルバンカーを用いて凍結保存することが可能である。我々は癌細胞株を血液にスパイクしPBMCを採取し、凍結保存を行い、それを融解し、CTC-chipシステムを稼働させることに成功した。捕捉率やNGSを用いたDNAシーケンス精度は従来の全血使用の場合と遜色がなかった。凍結PBMCをCTC-chipシステムで稼働可能となったことにより、捕捉数のさらなる増加が期待でき、また後ろ向きにCTCが解析可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
癌細胞株を用いた凍結PBMCでのCTC-chipシステムを稼働させる系を構築出来た。このプロトコールを用いて臨床検体での検討に進める。
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Strategy for Future Research Activity |
癌細胞株を用いた凍結PBMCでのCTC-chipシステムを稼働させる系を構築出来たため、今後は当科に保存されている100例を超える悪性胸膜中皮腫患者の凍結PBMC検体から、CTCの解析を後ろ向きに行う。生検時(凍結PBMC)、手術時(凍結PBMC)、外来フォロー時(血液)の検体よりCTC濃度の継時的変化を定量的に評価し、CTC濃度による患者層別化と現行の病期分類による層別化のどちらがより手術選択や予後予測の指標になるのか検討していく。 また原発巣、CTC、コントロールとしての血球の遺伝子変異を次世代シークエンサーで同定比較し、原発巣の遺伝子変異がどれ程CTCに反映されているのか、どのようなCTCの遺伝子変異を有する症例が予後不良となるのかを解析し、CTC遺伝子解析の臨床的有用性について検討する。
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Causes of Carryover |
試薬の関係で残預金が発生した。こちらについては次年度以降の研究における試薬を中心とした経費として利用する予定にしている。
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Research Products
(1 results)