2023 Fiscal Year Research-status Report
CTC-chipを用いた悪性胸膜中皮腫における循環腫瘍細胞検出の有用性
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22K08988
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
松宮 弘喜 産業医科大学, 医学部, 助教 (50863784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 文啓 産業医科大学, 医学部, 教授 (10283673)
小山 倫太郎 産業医科大学, 医学部, 助教 (70894088)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 循環腫瘍細胞 / 悪性胸膜中皮腫 / CTC-chip / 凍結PBMC / NGS / mRNA発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は悪性胸膜中皮腫(Malignant pleural mesothelioma: MPM)の診断と治療効果に関連するバイオマーカー、特に末梢血液中に存在する微量な腫瘍細胞(circulating tumor cell: CTC)を用いたバイオマーカーの検索を目的とする。我々は、独自に開発したCTC-Chipを用いて、肺癌やMPMにおける高感度なCTC検出、捕捉数による予後予測などの臨床的意義を証明してきた。(Oncol Rep 2017,Cancer Sci 2019,Cells 2020, Cancer Sci 2022)次に、捕捉されたCTCの量だけでなく、質も解析できる系の構築を目指した。そして肺癌患者から採取した全血サンプルから、捕捉されたCTCをマイクロマニュピレーターを用いてsingle cellで回収し、NGSで遺伝子変異をtarget sequenceする方法を構築した。肺癌においては所謂ドライバー変異と呼ばれる特定の遺伝子変異に依存した癌化が臨床上重要であるためCTCの特定遺伝子変異検出が有用であるのに対し、MPMでは染色体の欠損のような大きな構造変異が多数認められることから特定の変異をターゲットとするのではなくNGSによる広範な遺伝子プロファイリングを行うことが重要と考えられる。よって、CTCを利用して、single cellで採取したサンプルのmRNA発現解析を行う系の構築に取り組んでいる。CTCのmRNA発現を網羅的に解析することで、診断や治療効果と関連するバイオマーカーを模索し、早期診断や治療効果の予測を可能にすることで患者の予後改善に寄与出来ることが期待される。現在はMPMの細胞株を用いて、回収したsingle cellからmRNA発現解析を行う条件設定の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CTC-Chipを利用して、回収したsingle cellのmRNA発現解析を行う方法を構築すべく、MPMの細胞株を用いて、mRNA発現解析への最適な条件検討を行っているため、まだ臨床検体を用いての検討に進めていない。よって進捗状況はやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
CTC-Chipを用いたsingle cell回収からNGSを用いてmRNA解析を行うことが出来るようになれば、臨床検体で稼働させ、評価に進むことが出来る。 当科に保存されている100例を超えるMPM患者の凍結PBMC検体から、CTCの解析を後ろ向きに行う。生検時(凍結PBMC)、手術時(凍結PBMC)、外来フォロー時(血液)の検体よりCTC濃度の継時的変化を定量的に評価し、CTC濃度による患者層別化と現行の病期分類による層別化のどちらがより手術選択や予後予測の指標になるのか検討していく。また原発巣、CTC、コントロールとしての血球の遺伝子変異をNGSで同定比較し、原発巣の遺伝子変異がどれ程CTCに反映されているのか、どのようなCTCの遺伝子変異を有する症例が予後不良となるのかを解析し、CTC遺伝子解析の臨床的有用性について検討していく。
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Causes of Carryover |
試薬の関係で残預金が発生した。こちらについては次年度以降の研究における試薬を中心とした経費として利用する予定にしている。
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