2023 Fiscal Year Research-status Report
Study for regulation mechanism of immunomodulatory molecules which are therapeutic targets for malignant pleural mesothelioma
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22K08991
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Research Institution | National Hospital Organization,Yamaguchi - Ube Medical Center |
Principal Investigator |
沖田 理貴 独立行政法人国立病院機構山口宇部医療センター(臨床研究部), その他部局等, 呼吸器外科医長 (90467762)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 悪性胸膜中皮腫 / 免疫チェックポイント分子 / 腫瘍免疫 / 腫瘍免疫微小環境 / 予後 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
引き続き悪性胸膜中皮腫の臨床検体を用いて悪性胸膜中皮腫における腫瘍免疫微小環境の解明を目的に、特に免疫チェックポイント分子と免疫活性化/不活化分子(以下、免疫調整分子)の発現解析を行い、予後因子、すなわち治療標的候補分子の同定を目指すべく、研究を続けている。 当該年度は、悪性胸膜中皮腫79例と繊維素性胸膜炎34例について、Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assayとmultiplex解析を用いて、胸水中の複数の可溶性免疫チェックポイント分子ならびに免疫抑制にかかわるサイトカインの測定を行い、臨床病理学的因子、予後との関連について、統計解析を行った。 これまでに線維素性胸膜炎と悪性胸膜中皮腫の鑑別に有用な診断マーカー、ならびに、多変量解析により独立した予後予測因子となる複数の予後予測マーカーを見出しており、成果は英文原著論文として投稿中である。また、胸水1検体から40種のサイトカンとケモカインを同時測定可能なmultiplex解析も導入し、こちらについても測定を終えている。現在データ解析中であり、線維素性胸膜炎と悪性胸膜中皮腫との鑑別診断や悪性胸膜中皮腫の予後予測に有用なマーカーの探索を進めている。さらには、組織検体についても、腫瘍浸潤CD8T細胞の有無や悪性胸膜中皮腫に特徴的な遺伝子変異を反映するBAP1発現欠失について免疫染色で評価の上、データベース化している。 今後、胸水中の免疫調整分子濃度を測定した症例について、組織内の腫瘍免疫微小環境解析も併せて解析することで、悪性胸膜中皮腫の組織と胸水双方の腫瘍免疫微小環境を明らかにするとともに、免疫チェックポイント阻害療法の耐性因子の発見を目指す。最終目標は、薬剤耐性因子の発現/産生機序を制御する、新規治療法の開発である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
悪性胸膜中皮腫の組織検体を用いた免疫チェックポイント分子や腫瘍浸潤リンパ球の解析は、血液検査所見とともにすでにデータベース化している。これにより、新たに収集したデータについて、速やかに各因子間の関連性について統計解析が可能である。当該年度は胸水中の免疫調整分子(可溶性免疫チェックポイント阻害剤、各種サイトカイン、ケモカイン)濃度について測定を終え、統計解析により興味深い悪性胸膜中皮腫診断マーカーならびに悪性胸膜中皮腫の予後予測マーカーを見出しており、成果の一部は英文原著論文として投稿中である。特に予後予測マーカーは、新規治療法開発における治療標的分子になりうると考えている。現時点で複数の治療標的候補分子を見出せたことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
胸水についてはこれまでに46種の液性因子(サイトカイン、ケモカイン、可溶性免疫チェックポイント分子)の測定を終え、組織検体についても腫瘍浸潤CD8T細胞や悪性胸膜中皮腫に特異的なBAP1発現欠失について免疫染色法で解析してきた。得られたデータから、悪性胸膜中皮腫と慢性胸膜炎の鑑別に有用な診断マーカーや、悪性胸膜中皮腫の予後予測マーカーを見出しており、特に予後予測マーカーについては治療標的候補分子と考えている。 今後、悪性胸膜中皮腫に対する免疫チェックポイント阻害剤治療症例について、これまでに解析してきた因子の、治療効果予測因子としての意義を見出したい。これにより、免疫チェックポイント阻害剤の耐性因子が判明する。予後予測マーカーと免疫チェックポイント阻害剤耐性因子を治療標的候補分子と考え、in vitro実験により治療標的候補分子の発現/産生制御機構を解明できれば、最終目標である、免疫チェックポイント阻害療法の耐性克服法の開発につながる。
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Causes of Carryover |
前年度中に英文原著論文を1編投稿の見込みで論文掲載料を確保していた。しかし、最終的に前年度中の投稿には至らず、論文掲載料の支払い時期が今年度にずれ込むこととなり、次年度使用額が生じた。
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Remarks |
所属施設ホームページの医師紹介ページ内で、研究代表者の紹介項目からhttps://yamaguchiube.hosp.go.jp/files/000210275.pdfにリンクし、研究内容とその成果を公開している。内容は適宜更新している。
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