2023 Fiscal Year Research-status Report
神経障害性疼痛における妊娠が及ぼすGABAシグナル伝達機構の解明と治療薬への応用
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22K09015
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
小野寺 美子 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50516953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 浩嗣 旭川医科大学, 医学部, 客員准教授 (00550641)
神田 恵 旭川医科大学, 医学部, 客員講師 (50516820)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 妊娠 / GABA |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、健康寿命を延ばすために難治性の神経障害性疼痛への対応が社会的に求められている。我々は、妊娠が痛み閾値を上昇させることに着目し、さまざまな痛みと同様に神経障害性疼痛も分娩直前に抑制されることを明らかにしてきている。またその機序に脊髄後角が大きく関わり、活性化したグリア細胞を抑制することが重要であることも示している。さらに脊髄後角において活性酸素の産生の主座であるミトコンドリアの分裂を触媒するDrp1(dynamic-related protein 1)が神経障害性疼痛時には増加しているが、分娩直前にはその増加が抑制されると言うことを明らかにした。 我々は神経障害性疼痛時に脊髄で減弱されることが明らかであるγ-アミノ酪酸(GABA)抑制系に着目している。まず、妊娠ラットを作成し、神経障害性疼痛モデルを作成するために手術を施行する。分娩直前のラットの脊髄をサンプルとしてウエスタンブロットによるタンパク量の研究を進めている。GABAの増減に関わる因子としてはグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)の2つのアイソフォーム(GAD65とGAD67)を考えており、GAD67については神経障害性疼痛時に減少し、分娩直前にその減少が抑制されることが分かっている。活性化ミクログリアから分泌され、アロディニアの形成に重要であるBDNFとKCC2についての検討を考慮し、各種条件の設定などを行っているところである。ただし免疫染色以外にもGABAの質量分析についても検討を重ねている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度から引き続き計画時点での使用抗体における条件設定を行ってきたが、明らかな結果の確認にまでは至っていない。現在の検討項目を免疫染色で得ることが困難かと判断し、GABAの質量分析を開始した。Sham群においてGABAの定量を行う方法は確立したが、他群の検討は不十分である。2024年度は引き続き、免疫染色、質量分析法等の条件設定を行いながら、妊娠ラット群などで質量分析を実施していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度から継続して、GABAの動態を免疫染色で同定するための研究を遂行してきた。免疫染色にて明らかな陽性細胞を同定することができず様々な手法を試したが現状までで成功に至っていない。そのためほかの手法を用いる必要性を検討し、質量分析の手法を取り入れた。Sham群では質量分析にてGABAの発現量を同定できている。今後は妊娠が神経障害性疼痛に及ぼす影響をGABAの動態から解明していくために質量分析の手法を取り入れ、妊娠ラットの脊髄において分娩直前にGABAがどのような動態をとり、その結果神経障害性疼痛が抑制されている機序解明を目指して研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
質量分析の手法などを取り入れたため研究費を次年度へ繰越したうえで必要な実験機器および試薬の購入へと進む予定である。 また、2024年度は研究分担者の施設である和歌山県立医科大学で研究遂行を予定しており、機器搬送費の使用を予定している。
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