2022 Fiscal Year Research-status Report
咽頭浮腫と喉頭浮腫を区別可能なカフリークテスト(CLP)の開発と臨床応用
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22K09017
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山田 高之 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20866991)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CLP / 抜管後上気道浮腫 / カフリークテスト |
Outline of Annual Research Achievements |
術後上気道浮腫は、抜管後の再挿管や高度低酸素血症などの気道緊急対応を要しうる重篤な合併症である。術後上気道浮腫は咽頭・喉頭のどちらでも発生しうるが、その判別は現状困難である。咽頭レベルの浮腫に対してはトリプルエアウェイマヌーバーなどの気道確保手技により閉塞の解除が可能であるが、喉頭レベルの浮腫では再挿管以外の手段での閉塞の解除は不可能であるため、その判別が重要となる。気管チューブのカフを完全に脱気してリークを測定するカフリークテストは抜管前の上気道浮腫の有無の評価に有用と報告されているが、周術期患者、特に全身麻酔下での研究は少なく、浮腫の原因部位特定はできない。抜管後上気道浮腫に関して浮腫の原因特定をする手段を開発することが本研究の最大の目的である。 我々の研究グループは、より簡便かつ呼吸生理学的意味が明確なカフリーク圧(CLP)測定を独自に考案しており、CLPが従来用いられているカフリークテスト(カフリークボリューム)と比較し同等に用いることのできる指標であることを先行研究で検証した(論文投稿中)。そのうえで、下顎前方移動でのCLP変化により、CLP上昇の原因部位推定や浮腫の重症度を評価可能ではないかと考え、CLPによる閉塞部位診断とそれに基づく覚醒・抜管戦略を開発し、その有用性を前向き観察研究で検証する計画である。 本研究により、上気道周囲手術後の覚醒や抜管、術後気道管理を安全に実施する戦略確立に大きく貢献できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究(下顎前方移動でのCLP変化による浮腫の原因特定)は、2022年7月13日に当施設内の倫理委員会の承認を受け、2022年9月14日にデータの収集を開始した。2023年4月現在で目標20症例中8例について研究を実施している。研究実施途中の結果解析は行っていないが、目標症例の達成次第、解析を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
CLP変化による上気道浮腫の原因特定が可能であるか検証したのちに、機能的CLP測定によって適切な抜管の計画や術後の睡眠時無呼吸症候群の悪化予測が実際に可能であるか、およびCLP上昇の独立危険因子を前向き研究により調査する。具体的には、研究期間中の6か月間に実施されるASA-PS3以下の気管挿管予定の成人の全身麻酔患者全てを対象として、患者背景や上気道維持に関連する手術・麻酔管理因子を前向きに情報取得するとともに、手術前後にCLPを測定する。測定禁忌または測定不可能である場合はその理由を記録する。すべての登録患者の術後2日以内の術後合併症を調査・記録する。多変量解析を用いて、CLP増加を説明する独立危険因子を同定し、術後呼吸合併症予測モデルを構築する。
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Causes of Carryover |
カフリークテストに関する研究を行うにあたり必要な物品である簡易型睡眠検査計を購入したが、端数が生じた。また本年度は海外学会での発表を行っておらず、想定より経費の計上が少ない結果となった。次年度は海外学会での発表を目指し研究を進め、また研究の環境を整えるべく設備投資も行う予定である。
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