2023 Fiscal Year Research-status Report
セボフルランにより最早に賦活されるカレハ島ニューロン群の性質と影響についての解析
Project/Area Number |
22K09028
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
飯島 典生 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (00285248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 俊幸 国際医療福祉大学, 薬学部, 准教授 (20360208)
山口 剛史 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (50726510)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 吸入麻酔 / sevoflurane / 麻酔メカニズム / カレハ島 / cFos / 概日リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
全身麻酔は長年にわたり外科手術の発展を支えてきたが、その作動メカニズムに関してはいまだに解明が進んでいない。全身麻酔の作動メカニズムを探る目的で、吸入麻 sevoflurane暴露1時間後のラット脳よりニューロン賦活マーカーcFosの発現を免疫組織化学により探索したところ、前脳カレハ島にcFos免疫反応の集積を見出した。 計画1 cFos陽性ニューロン群の特徴解析をすすめている。現在までにカレハ島のcFos陽性ニューロンの一部は一酸化窒素合成酵素(NOS)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)のmRNA発現することを見出している。さらにこのニューロン群の特徴について解析を進めている。 計画2 前研究計画において、sevoflurane暴露によるPer2の発現抑制効果は概日時計に依存していること明らかにしてきた。カレハ島におけるcFos発現に関しても、ラットの概日リズムをモニターしつつサンプリングしてcFos発現への影響を検討しようとしている。 計画3としてカレハ島cFos発現領域に順行性トレーサーBA10000を微量注入して、同領域ニューロンの投射先を探索したところ、同側性にマイネルト基底核、外側視床下部、手綱核にトレーサーを含む少数の神経線維の分布を見出した。これら投射領域を特徴づけるマーカーとの多重染色をすすめている。 計画4として、「カレハ島が直接sevofluraneを受容しているのか」を検討する目的で、カレハ島を含む切片培養を行い、直接sevofluraneに暴露し、cFosを検出するex vivo実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画1 NOS, GAD以外のニューロンマーカーに関して、cFos発現ニューロンへの共発現は見出されいない。GABA受容体等のin situに難渋している。 計画2 現研究環境で使えるラットの行動リズムをモニターする機器を製作に時間を要している。 計画3 sevofluraneにより賦活されるニューロンの投射先について、ニューロンマーカーとのトレーサーとの二重染色を進めてる。今のところトレーサー陽性線維とニューロンマーカーとの近接・接触は見いだせていない。 計画4 カレハ島を含む短期培養切片にsevofluraneを暴露してもcFos発現は見いだせていない。切片の調整方法の試行に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
計画1,4を優先して進める。 計画1 各種受容体に関して、RNAscopeを試みる。 計画4 切片の切り出しの方向、培養調整から麻酔薬暴露までの時間調整など、条件の検討を進める。 計画2 測定機器の製作途中である。完成を待ってサンプリングを開始する。 計画3 マーカーとなる抗体の探索を続ける。
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Causes of Carryover |
1. 本研究の主要データとなる組織化学(in situ hybridization)実験に難渋しており、時間を要している。解決策とし、高額な試薬を用いることになるが、RNAscope法に切り替え組織化学実験を進める。 2. 実験動物の概日リズムを正確にモニターしつつ、サンプリングをする必要が生じたが、機器の製作がまだ途中である。完成を待って、購入し実験を進める。
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