2023 Fiscal Year Research-status Report
Control of surgery-induced inflammation by hydroxyethyl starch based on gel-like structure of interstitium
Project/Area Number |
22K09033
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
多田羅 恒雄 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30207039)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒアルロン酸 / 細胞間質 / ヒドロキシエチルスターチ / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
<背景と目的> 炎症時には、毛細血管の透過性が亢進するため、血管内に投与されたヒドロキシエチルデンプン(HES)は細胞間質に漏出する。このHESが、細胞間質を構成するヒアルロン酸の移動を促進する可能性を検討するため、モデル系を用いて、HESがヒアルロン酸のconvection flowにおよぼす影響を調べた。 <方法> 透析セルにFITCによりラベルされたヒアルロン酸(FHA)溶液0.5 mLを留置し、そこに0.9% NaCl溶液または0.5%, 1%, 2% HES(平均分子量130,000)溶液を20 μL/minの速度で6時間注入した。この間に透析セルから排出されるFHAの量をUV法により測定した。最初に透析セルに留置されたFHA量に対するFHA総排出量(排出率)を算出し、統計学的手法を用いて注入した溶液間(0.9% NaCl溶液または0.5%, 1%, 2% HES)の比較を行った。 <結果と考察> FHA排出率(mean±SD, n=5)は、0.42±0.04(0.9% NaCl)、0.94±0.05(0.5% HES)、0.68±0.14(1% HES)、0.64±0.21(2% HES)であり、0.5% HESは、0.9% NaClにくらべて有意に高い排出率を示した(p <0.001)。本結果は、HESがヒアルロン酸との結合を増強させる結果、convection flowにおけるヒアルロン酸に対する抗力(drag)が増加することによると考えられた。細胞間質内のヒアルロン酸は、常に間質液の流れにさらされているため、HESは、細胞間質内のヒアルロン酸の流出を増加させる可能性がある。これに基づくと、HESが、炎症時にヒアルロン酸が増加することにより細胞間質に水が貯留すること(炎症性浮腫)を軽減させることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒドロキシエチルデンプンが、細胞間質を構成するヒアルロン酸の構造におよぼす影響を調べることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒドロキシエチルデンプンが細胞間質を構成するヒアルロン酸の構造におよぼす影響が、敗血症などの高度炎症下の重症患者管理においてどのような意義を有するかを検討する。
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