2022 Fiscal Year Research-status Report
術後認知機能障害病理における統合的ストレス応答の果たす役割
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22K09038
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
内田 洋介 北海道大学, 大学病院, 准教授 (00507585)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 術後認知機能障害 / 統合的ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究により、様々な要因が術後認知機能障害に関与することが解明されてきているものの、その正確な機序や病理については未だに不明な点が多く残されている。手術後に認知機能障害が引き起こされる原因としては、手術侵襲によって惹起された末梢組織での炎症が中枢での神経炎症を誘発し、中枢神経での炎症反応の連鎖の結果、認知機能障害を呈すると考えられている。 統合的ストレス応答(integrated stress response:ISR)は、様々な生体ストレスに応じて活性化される翻訳開始因子(eukaryotic initiation factor 2α:eIF2α)のリン酸化からはじまる一連のシグナル伝達で、生体におけるタンパク合成を制御すると考えられている。近年、ISRの亢進が様々な認知機能障害を来す疾患に関与していることが報告されてきているが、手術後の10%を超える患者に発生するとされる認知機能障害との関連は明らかにされていない。 一方、低分子化合物であるISRIBは、翻訳開始因子(eIF2B)に結合することで、ISR経路を抑制する作用があり、脳損傷モデルマウスにおいてはISRIBの投与による神経保護効果が報告されている。 本研究では、統合的ストレス応答が手術後に発生するマウスの認知機能低下にどのような役割を果たしているか、またISRIB投与により術後認知機能障害を防ぐことができるかについて検討することを目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
使用する抗体の選定を含めたMethodology確立に予想より時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の遅れが挽回できるように研究計画の見直しを随時行っていく。
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Causes of Carryover |
当初の見込みより実験計画が遅れており予算執行が満額といかなかったが、繰り越した予算は次年度と併せて動物購入や試薬などの消耗品購入に充てる予定である。
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