2022 Fiscal Year Research-status Report
SGLT阻害薬が心筋虚血再灌流障害時の内在性臓器保護効果に与える影響と機序解明
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22K09049
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
一ノ宮 大雅 長崎大学, 長崎大学病院, 講師 (50404249)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 薬理学的プレコンディショニング / SGLT2阻害薬 / 心筋虚血再灌流傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病治療薬であるSGLT2(sodium-glucose cotransporter 2)阻害薬は、大規模臨床研究で心血管死イベント発生の減少や、心不全・腎不全リスクの軽減効果が相次いで証明されたことから近年非常に注目されている。また、複数のSGLT2阻害薬で心筋梗塞の再発が抑制されることが示されたことから、その機序の一つとして虚血再灌流傷害に対する臓器保護効果を発揮した可能性が考えられている。しかしながら、臓器保護効果についての分子細胞学的機序は依然として不明である。 心臓にはSGLT2はなく、SGLT1のみが存在する。従って、SGLT1が保護作用において重要な役割を成すと推測されているが、強いSGLT1阻害作用が心筋傷害リスクを上昇させる可能性がある一方で、SGLT2阻害薬が有する軽度のSGLT1阻害作用が保護効果を得る上で重要だとの報告もあり、SGLT1の心筋保護効果における功罪は明らかでない。また、臨床で使用されているSGLT阻害薬のSGLT1選択性は薬剤により大きく異なるため、その保護効果は薬剤ごとに大きく異なる可能性がある。そこで本研究は、心筋虚血再灌流傷害に対するSGLT1選択性の異なる各SGLT阻害薬の内在性臓器保護効果への影響を検討し、その分子細胞学的機序を明らかにする目的で行っている。 2022年度は、急性期および慢性期投与のモデル作成を行った。今後、心筋虚血前に各SGLT2阻害薬を投与し、心筋虚血再灌流傷害に対する保護効果(薬理学的プレコンディショニング)が得られるかどうかを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度は、正常ラットでの心筋虚血再灌流傷害に対するSGLT阻害薬(慢性・急性プレコン)の影響に関する検討を行う予定であった。しかし、COVID-19対応で臨床業務が多忙であったため、研究に割ける時間が少なかった。そのため、慢性期投与のモデル作成を行うのみで、急性期を含めた虚血再灌流モデルへの薬剤投与の実験を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力者として大学院生1名を得たため、2022~2023年度に予定していた正常ラットでの心筋虚血再灌流傷害に対するSGLT阻害薬の保護効果に関する研究を共同でまず行う。その後に、正常ラットでの研究結果を踏まえ、糖尿病ラットでのSGLT阻害薬の保護効果についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により実験の進捗が遅れているため、繰越額は2022年度に予定していた実験を本年度(2023年度)に実行するために使用する。
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