2022 Fiscal Year Research-status Report
ウイルス感染に関連する慢性疼痛疾患における中枢神経系の機能解析
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22K09080
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
川中 涼子 帝京大学, 医学部, 助教 (60764199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横川 徳造 帝京大学, 医学部, 教授 (70328061)
青江 知彦 帝京大学, 医学部, 教授 (90311612)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ウイルス感染 / Long COVID / 慢性疲労症候群 / 線維筋痛症 / 安静時機能的MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19後遺症患者では、急性期臓器障害の後遺症の他に、倦怠感、brain fogと称される認知機能障害、不安感、睡眠障害、頭痛、筋骨格痛、味覚嗅覚障害、鼻閉感、などが観察されている。こうした症状は慢性疲労症候群/筋痛症性脳脊髄炎と呼ばれる病態に酷似している。また、身体の痛みが強い場合は線維筋痛症と同様の症状となる。慢性疲労症候群と線維筋痛症はしばしば合併し、ウイルス感染に続発することもあると推測されていたが、確証はなかった。COVID-19後遺症患者ではSARS-CoV-2感染が明らかで、ウイルス感染に続発する慢性疲労症候群と線維筋痛症の疾患モデルと考えることが出来る。本研究ではCOVID-19後遺症患者で慢性疲労症候群と線維筋痛症の診断基準を満たす患者について安静時機能的MRIを施行して中枢神経系の機能的結合を解析し、健常人、SARS-CoV-2感染歴のない線維筋痛症患者の解析結果と比較する。神経症状、疼痛の訴え、痛覚閾値などと機能的結合度の関係を解析し、COVID-19後遺症、慢性疲労症候群、線維筋痛症の病態解明と治療応用を目指す。感染歴のない線維筋痛症患者については先行研究の「慢性疼痛疾患における痛覚過敏形成機構の解明」(帝倫19-077-3、UMIN000037712)のデータを用いる。観察項目は、脳MRI撮影による安静時機能的MRI解析、Numerical Rating Scale(NRS)、Pressure Pain Sensitivity (PPT)、Pain Catastrophizing Scale (PCS)(心理面の評価)、COVID-19急性期と後遺症の臨床症状などとする。主要評価項目は脳内全領域について任意の2領域間のBOLD signalの時系列変化を解析し、機能的結合度を求める。上記4群間で有意の差を示す領域を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究デザインは患者群と対照群とを比較する横断研究で対象は帝京大学ちば総合医療センター・ペインクリニック外来を受診した患者。SARS-CoV-2感染歴がPCR検査、抗原検査、あるいは抗体検査によって確認され、初発症状あるいは感染確認から12週間以上経過した患者で、臨床症状が慢性疲労症候群診断基準と線維筋痛症診断基準を共に満たす患者2名について、脳MRI撮影による安静時機能的MRI解析、Numerical Rating Scale (NRS)、Pressure Pain Sensitivity (PPT)、PainCatastrophizing Scale (PCS)(心理面の評価)、COVID-19急性期と後遺症の臨床症状を検討している。感染歴のない線維筋痛症患者と健常者については、脳内全領域について任意の2領域間のBOLD signalの時系列変化を解析し、線維筋痛症患者に特有の変化をいくつか検出した。一部の解析結果を第69回日本麻酔科学会で「慢性疼痛疾患患者における中枢神経系の機能的結合の解析」として報告した。また、論文作成し投稿の準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度と同様に、研究計画に従って研究を進める。病院ホームページなどを通じて、本研究計画の認知を高めて、SARS-CoV-2感染歴のある患者で研究に参加を希望する患者を募集する。感染歴のない線維筋痛症患者と健常者については、今までに得られた任意の2領域間のBOLD signalの時系列変化をさらに詳細に解析する。機能的結合度を網羅的に算出し 、NRS、PPT、PCS、ACR2016 各スコアとの相関を解析する。機能的結合度と臨床症状のデータを出来るだけ多く集め、今後はdeep learningとAIを活用した自動診断システムの開発を構想する。
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Causes of Carryover |
研究は概ね計画に沿って進行しているが、SARS-CoV-2感染歴のある患者の研究参加者が少ないので、次年度使用が生じている。また、COVID-19流行に伴い、出勤できない時期や、物品の納品が遅れたことなどもある。潜在的にCOVID-19後遺症患者は多いと考えられるので、研究の広報に努め、研究計画を進行させる。今年度も計画を継続して行う。
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Research Products
(2 results)