2022 Fiscal Year Research-status Report
The effects of beta-2 adrenaline receptor signals in macrophages on the prolonged postoperative pain
Project/Area Number |
22K09092
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坪井 ちづ 神戸大学, 医学部附属病院, 非常勤医師 (80941773)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 有紀 神戸大学, 医学研究科, 講師 (60643955)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | β2アドレナリン受容体 / マクロファージ / 神経障害性疼痛 / 後根神経節 |
Outline of Annual Research Achievements |
遷延性術後痛(chronic postsurgical pain:CPSP)は、術後患者の10%以上に発症し、そのうち約2%が難治性の疼痛を患う。発症の一因として、急性期痛による交感神経系の緊張および炎症細胞およびグリア細胞による神経炎症が、痛みの慢性化に寄与している可能性が指摘されている。一方、末梢および中枢の免疫細胞には共通してβ2アドレナリン受容体が存在し、 細胞機能に重要な役割を持つ。また神経障害性疼痛においては、後根神経節へのマクロファージの浸潤が発症の要因であると報告されている。本研究では遷延性術後痛モデルマウスを用いて、急性痛から慢性痛への移行過程での、後根神経節おけるマクロファージの動態変化およびβ2アドレナリン受容体とそのシグナルの関与を解明することを目的としている。 遷延性術後痛の要因の一つに神経障害性疼痛があり、まずは神経障害性疼痛モデルマウスを作成し、β2アドレナリン受容体作動薬の鎮痛効果と後根神経節におけるマクロファージの動態変化を検討した。神経障害性疼痛に伴うアロディニアはβ2アドレナリン受容体作動薬の投与により緩和された。後根神経節におけるマクロファージの動態変化を免疫組織染色にて観察し解析を行ったが、現状β2アドレナリン受容体による動態変化については結果が得られていない。アロディニアの緩和がβ2アドレナリン受容体作動薬により起こる背景には何らかのシグナルが関与していると思われる。後根神経節に限らず、免疫組織学的染色やフローサイトメトリー、PCRにてマクロファージの動態変化やマクロファージの機能的な役割について検討し、坐骨神経や脊髄でも同様に解析を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度に行う予定であった、遷延性術後痛モデルにおける疼痛様行動評価や後根神経節の解析については、まずは神経障害性疼痛モデルマウスを用いて行った。β2アドレナリン受容体作動薬に投与によりアロディニアは緩和され、その薬剤投与スケジュールは確立できた。後根神経節の解析は免疫組織学染色を行い、マクロファージの浸潤は確認できたが、マクロファージの動態変化の傾向はいまだ確認できていない。マクロファージの動態変化やマクロファージから放出されるサイトカイン等についての解析方法については、今後の検討課題である。 また今後の研究にもちいる、β2アドレナリン受容体floxマウスとLysM-Creマウスを交配しマクロファージ特異的β2アドレナリン受容体欠損マウスを作成した。
|
Strategy for Future Research Activity |
神経障害性疼痛モデルマウスに対し、β2アドレナリン受容体作動薬を投与し、抗アロディニア効果を発揮したマウスを作成する。β2アドレナリン受容体がマクロファージの極性変化や機能変化にどのように関わっているかを調べるために、後根神経節、坐骨神経、脊髄などの組織を用い免疫組織染色に加え、PCRによるmRNA発現の定量解析や、フローサイトメトリーによるマクロファージの極性の解析を行う予定である。 同様の実験系をマクロファージ特異的β2アドレナリン受容体欠損マウスでも行う予定としている
|
Causes of Carryover |
神経障害性疼痛モデルマウスの作成とβ2アドレナリン受容体作動薬投与による抗アロディニア作用発現の手術手技や薬剤投与スケジュールの確立に時間を要した。 実験プロトコルが確立でき、またノックアウトマウスの繁殖も進んでいるため、次年度より更なる解析を進める予定である。
|
Research Products
(1 results)