2022 Fiscal Year Research-status Report
敗血症とその後の集中治療後症候群におけるミトコンドリアタンパクの役割
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22K09141
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菊谷 知也 広島大学, 病院(医), 助教 (10811341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相澤 秀紀 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (80391837)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 敗血症 / 集中治療後症候群 / トランスロケータープロテイン / ステロイド / 補体 |
Outline of Annual Research Achievements |
盲腸結紮穿刺(cecal ligation and puncture:CLP)手術によって誘発された敗血症後の精神・認知障害に関連したマウスの行動の長期的障害におけるTSPOの役割を調べた。動物を、(i)wile type (WT) + sham, (ii) WT + CLP, (iii) TSPO knock out + CLPの3群に分けた。手術後17日目までの生存率と体重変化を評価した。また、生存したマウスについて、不安様行動、うつ様行動、認知機能、運動活動、前肢筋力を、それぞれ高架式十字迷路、尾懸垂試験、Y迷路、オープンフィールド試験、握力試験により評価した。行動実験終了後に、マウスの海馬を採取しRNAを抽出後、RNA-seqにより、遺伝子発現の変化を調べ、行動試験との関連を評価した。TSPO遺伝子を欠損させたマウスでは、WTマウスに比べて、CLPによる死亡率が高く、体重減少が長期に遷延した。また、敗血症回復後の不安様行動、うつ様行動、前肢筋力低下がWTマウスに比べて増悪することが明らかとなった。海馬のRNA-seq解析により、C1q補体経路の遺伝子(C1qb、C1qc、Tyrobp)の発現上昇が、不安様行動の程度と有意に相関があることが明らかになった。これらの遺伝子の発現の上昇は、尾部懸垂試験におけるうつ様行動や、握力試験での筋力低下とも関連があり、C1q経路の敗血症後症候群における役割を支持するものであった。 また敗血症急性期において、TSPO遺伝子を欠損させたマウスでは血中のプロゲステロン値がWTマウスに比べて有意に低かった。このことから、プロゲステロン産生障害が敗血症の予後に影響を与える可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた敗血症の経過やその後の集中治療症候群へのTSPOの影響を確認する実験を行い、論文を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の計画通り、敗血症急性期におけるステロイド産生とTSPOの関連をより詳細に検討し、ステロイドの補充実験などを行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
敗血症とその後の集中治療後症候群におけるTSPOの役割を検討する実験系に、予定していたウエスタンブロットや免疫染色は今年度は行わなかった。次年度にステロイド産生の障害とも併せて検討してく予定である。
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[Journal Article] GENETIC DELETION OF TRANSLOCATOR PROTEIN EXACERBATES POST-SEPSIS SYNDROME WITH ACTIVATION OF THE C1Q PATHWAY IN SEPTIC MOUSE MODEL2023
Author(s)
Kikutani K, Hosokawa K, Giga H, Ota K, Matsumata M, Zhu M, Takemoto H, Ji B, Ohshimo S, Shime N, Aizawa H.
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Journal Title
SHOCK
Volume: 59
Pages: 82-90
DOI
Peer Reviewed