2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of treatment for crush syndrome by inhalation of nitric oxide
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22K09148
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
村田 勇 城西大学, 薬学部, 助教 (80610667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 順 城西大学, 薬学部, 教授 (20153611)
石原 伸輔 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主幹研究員 (30644067)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クラッシュ症候群 / 一酸化窒素ガス / サイトカインストーム / 炎症反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】災害現場で多発するクラッシュ症候群は、腎機能不全を主体とする疾患として発見されたが、その病態や治療法の研究によって腎不全を克服しつつある。しかしながら、この疾患は治療してもなお10~15%の死亡例が存在し、その原因が炎症性疾患(全身炎症反応症候群、急性呼吸窮迫症候群など)であることが明らかにされており、我々は肺で増幅されたサイトカインストームが原因であると考えている。現在の治療法では炎症性疾患をカバーする治療法はない。我々は、クラッシュ症候群モデルラットにおいて一酸化窒素が不足することで炎症性疾患が引き起こされることを明らかにしている。しかしながら、これまでに使用されている一酸化窒素ドナーは、薬物の安定性や投与経路に難があるだけでなく、疾患の原因となる肺に薬物を送達させるような標的指向性を持たせることが難しい。 【目的】本研究は、新たに開発された一酸化窒素発生素材を用い、災害現場で利用可能な経肺投与についてクラッシュ症候群ラットによって検討を行った。 【方法】モデルラットに対する有効な一酸化窒素の濃度の決定は、発生させるガスの濃度を3つ、投与する期間を3つ、投与するタイミングを3つに分けて検討を行った。 【結果・考察】有効な一酸化窒素が酸ガスの濃度は、20ppmおよび160ppmであった。20ppmの一酸化窒素ガス投与は、未治療ラットの生存率(20%)に対して約2倍以上の生存率を高め、投与時間に依存しないことを明らかにした。一方、160ppmの一酸化窒素ガス投与は圧迫解除後に投与すると死亡例を観察しなかったが、圧迫解除前に投与するとほぼすべてのモデルラットが死亡した。つまり、投与するタイミングによって有効性が逆転することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たに開発された一酸化窒素発生素材を動物実験の条件に当てはめるために、発生条件やそのガス発生を維持させる手段の条件検討を入念に行った。動物実験の条件は、適切に設定できた。また新型コロナ感染症拡大に伴い機器購入の遅延、購入価格の高騰によって実験の中断を余儀なくされた。現在はそれら遅延を解消するために代替法を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の遅延は解消され、現在は順調に研究を遂行している。現在は、2年目に計画している遺伝子発現解析についての予備的な検討を行っている。
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Causes of Carryover |
理由は、設備備品費として計上していたアボット社製iSTAT300の購入が昨今の社会情勢に伴い価格が高騰したため購入できなかったことにある。この未使用分は、2年目に検討するDNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子解析やそれに該当する種々タンパク質(サイトカイン)について追加的な検討を実施し、これまでに得ている研究成果の妥当性を高めることを検討している。
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