2022 Fiscal Year Research-status Report
Effects of hydrogen gas inhalation on differential TLR signaling pathways and suppression of cytokine storms.
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22K09162
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
青景 聡之 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (30822358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 郁朗 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (30343586)
中尾 篤典 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40648169)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水素ガス / 全身性炎症 / リポ多糖 / TLR3アゴニスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はTLR炎症伝達経路に対する水素の効果解明を目的としている。2022年度は以下の研究を実施した。①LPSモデルマウスの研究:LPS 1.25mg/kgの腹腔内投与を行い、水素群38匹、空気群38匹の効果を検証したところ、水素群で有意に生存率と運動量の改善が認められ、またIL-6等の炎症マーカーの優位な低下が認められた。組織では、肺と肝臓を評価した。肺では肺傷害の程度が改善された。研究結果は、2022年日本救急医学会で報告した。②TLR3アゴニスト誘発全身性炎症マウスモデルの作成:本モデル作成を試みているが難航している。腹腔内投与から気管内投与に変更しているが、十分な肺傷害を誘発できていない。Poly I:C投与量を5から20mg/kgに増加させて、水素群8匹、空気群10匹の効果を検証したところ、水素ガスの投与によってIL-6、IFNB1の炎症マーカーの優位な低下が認められた(対照比としてIL-6mRNA: 空気群18倍、水素群8倍;IFNB1 mRNA:空気群11倍;水素群5倍)。しかし、組織所見として肺傷害(間質の浮腫等)を生じさせることはできなかった。今後は、投与形態を静注への変更を検討している。 ③培養細胞の実験:動物モデルの作成に難航しているため、肺胞マクロファージMH-S細胞を用いて、PolyI:C投与における水素の効果メカニズムの探索を目的とした実験も並行して行っている。最適な条件の探索として、PolyIC 20μg/ml投与後1.5、3、6時間のタイムスパンで細胞を採取し、RT-PCRでmRNAの発現を評価した。対照比としてIFNB1の発現はそれぞれ80倍、104倍、18倍であった。PolyIC投与から3時間のタイムスパンで研究を行う方針となった。また、PCRでは、IFNB1のほか、IL-6(対照との比:1518倍)の発現上昇を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PolyI:Cを用いた全身性炎症マウスモデル作成には難航しているが、一方で培養細胞を用いて解析をすすめられている。
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Strategy for Future Research Activity |
①LPSマウスモデルの結果については、今後科学雑誌に投稿すすめる。②TLR3アゴニストの全身性炎症マウスモデル作成は、尾静注へ変更し、再度モデル作成を行う。③TLR3アゴニストを用いたMH-S培養細胞の実験は、すでに解析条件は済んでおり、分子解析をすすめる。また、適切な水素濃度や水素の投与時間についてもさまざまな条件で評価し、解析をすすめる。④TLR9アゴニスト CpG1826を用いた全身性炎症モデルの確立をめざす。
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Causes of Carryover |
この次年度使用額が生じた理由は、予定していた動物実験モデルの作成が難航し、細胞実験に一部切り替えたことで動物購入費が削減されたこと、本実験がまだ完了していないため抗体購入を延期したこと、そして保有している試薬を使用することで購入費が抑えられたためである。これらの理由から生じた次年度使用額に対して、以下の計画を立てる。まず、動物実験モデルの作成に成功するまで継続的に取り組み、必要に応じて追加の動物購入費を投じる。また、実験が進捗し、抗体購入が適切なタイミングになった場合には抗体を購入することとし、研究の進行に伴い新たな試薬や消耗品が必要になることが予想されるため、それらの購入にも予算を充てる計画である。上記の使用計画に沿って、次年度の予算を効果的に活用し、研究の進捗を促進することを目指す。
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Research Products
(1 results)