2023 Fiscal Year Research-status Report
ウイルス性敗血症を中心とした水素のNETs抑制効果検討
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22K09175
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
小濱 圭祐 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (50595171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 倫子 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40566121)
東 英樹 姫路獨協大学, 医療保健学部, 准教授 (20726509)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | NETs / SARS-CoV-2 / 好中球 / 水素 / ウイルス性肺炎 / 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症の感染を惹起するのは細菌だけでなくウイルスもある。COVID-19も重症化の過程で敗血症病態を呈し感染に対する生体反応の一つとして好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps; NETs)の放出があるが、その過剰な反応は臓器障害や血栓形成を誘引し重症化に関与するとされ、重症COVID-19感染症においてもNETsの増加が報告されている。しかし、ウイルス性敗血症におけるNETs抑制について、効果解明はなされていない。本研究では、水素がウイルス性敗血症モデルでのNETs形成を抑制できるかを明らかにし、臨床応用へ基礎的データを構築することを目的とする。本研究で明らかにすることは以下の2点である。①in vitro実験系において、ヒト好中球への水素投与はウイルス性刺激誘発のNETsを抑制することが出来るか、②in vivo実験系において、げっ歯類への水素吸入投与はウイルス性敗血症モデルによる臓器障害を緩和することが出来るか、またその緩和はNETs抑制によるものであるか。 令和5年度(2023年度)は、目的①に関して検討を行った。ヒト好中球を用いた培養系で水素によるNETs形成抑制が確認できるのかを明らかにするため、前年度に独自に開発した水素培養用チャンバーを用い、3%の水素濃度をモニターしながら37℃、5%CO2で3時間培養した好中球のNETs形成を免疫染色で確認した。コロナウイルスのスパイク蛋白、ヌクレオカプシド、膜蛋白、エンベロープ蛋白のリコンビナント蛋白の濃度を振って刺激したところ、スパイク蛋白、膜蛋白ではNETsの誘導がみられたものの、有意な濃度依存性は確認できていない。3%水素混合気下での培養についてはスパイク蛋白、膜蛋白とも水素非含有気下に比べ、ややNETs抑制傾向を示したが、有意差は認められていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、2023年度中にTLRリガンドモデル、COVID-19モデルのin vitroモデルを作成し、NETs形成について水素が及ぼす効果を確認する予定であったが、実際には、2022年度に作成した独自の培養機構を用いてin vitroの培養モデルでの検討を行った。実験条件の最適化が当初の予想をさらに超える精度で可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
3%濃度の水素について検討を行い、効果が認められれば機序の検討と、動物を用いたウイルス性肺炎モデルの作成を行う。In vitroにおけるデータを蓄積し、十分な確証を得た場合に動物実験に進む予定である。In vitroでのデータが動物実験を行うまでに至らない場合は、血管内皮細胞などNETsに関連の深い培養細胞を用いてデータを蓄積し、水素の効果を確認する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも、詳細なデータ解析を行っており、検体採取件数が予定よりも少なかった。また、予定していたTLRリガンドモデルの作成が出来ておらず、先にCOVID-19についての検討を進めたため、TLRリガンド購入費用が残っていること、リコンビナント蛋白の種類を増やして検討しているものの、動物実験に至るまでの確証となるデータが得られていないことから、動物実験がまだ行えていないことが繰り越しの出た理由として大きい。動物実験に関しては愛護の観点からも、in vitroでの効果がはっきりするまでは行わないため、今後はまずin vitroにおけるデータを蓄積し、十分な確証を得た場合に動物実験に進む予定である。In vitroでのデータが動物実験を行うまでに至らない場合は、血管内皮細胞などNETsに関連の深い培養細胞を用いてデータを蓄積し、水素の効果を確認する予定である。
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