2022 Fiscal Year Research-status Report
加齢が脳梗塞後のペリサイトを介した組織修復・内因性機能回復機構に与える影響の解明
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22K09209
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
脇坂 義信 九州大学, 大学病院, 講師 (50631694)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 加齢 / ペリサイト / アストロサイト / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / 軸索再髄鞘化 / 内因性組織修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、若齢マウス(生後8-15週齢:ヒトで10-20歳代に相当)と高齢マウス(18-24月齢:ヒトで60-70歳代に相当)での脳梗塞後の脳組織を比較して、①ペリサイト・アストロサイト・オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)の発現の加齢に伴う変化や、脳軟膜側副血行路の発達・梗塞巣内の血管新生や線維性変化の加齢に伴う変化について、②壊死組織の処理機構の加齢に伴う変化について、③アストロサイトを介したOPC分化と再髄鞘化機構の加齢に伴う変化について検討している。 現在、マウスを順次飼育し目標とする18-24月齢に到達するのを待っているところではあるが、目標月齢に達した少数の高齢マウスに対してmodified Tamura 法にて中大脳動脈永久閉塞により脳梗塞を作製し、脳梗塞作製7日目に脳組織を評価すると、若齢マウスでの脳梗塞と比較して高齢マウスでは脳梗塞サイズが有意に大きく、また脳梗塞巣内(特に脳梗塞巣辺縁領域)のペリサイトの発現が有意に少ない結果を認めた。 今後、目標月齢に到達した高齢マウスと若齢マウスに対して順次脳梗塞モデルを作製し、高齢マウスと若齢マウスの脳梗塞組織を対比させることで、加齢に伴う脳梗塞後の内因性組織修復機構の変化について検討をすすめていく。また高齢マウスまたは若齢マウス由来の培養ペリサイトを用いてペリサイト・アストロサイト。OPC連関が加齢によってどのように変化するかの検討も進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを飼育して目標月齢に達するには時間を要することは想定しており、初年度は主にマウスの飼育を主に行ってきている。また少数ながら目標月齢に達した高齢マウスに対して脳梗塞モデルを作製したが、目標月齢に達するまでに死亡するマウスも散見されたため、実験の遂行に必要なマウス数を確保するのには時間を要すると推測される。
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Strategy for Future Research Activity |
目標月齢に到達した高齢マウスと若齢マウスに対して順次脳梗塞モデルを作製し、高齢マウスと若齢マウスで①脳梗塞サイズ・脳血流量・運動機能・脳軟膜側副血行路発達の相違を評価していく。また②脳梗塞巣内や梗塞辺縁領域でのペリサイト・アストロサイト・OPCの数や分布、脳梗塞巣内の血管新生や線維性変化の程度の加齢に伴う相違やこれらに関わる各種因子の発現の相違を免疫組織学的・分子細胞学的に評価するとともに、③マクロファージによる脳梗塞巣内の壊死組織の処理機能の加齢による変化、またアストロサイトを介したOPC分化や軸索再髄鞘化が加齢によりどのように変化するのか、について検討していく予定である。また④高齢マウスと若齢マウスの双方から由来する培養ペリサイトのconditioned mediumを培養アストロサイトに添加して、加齢に伴うアストロサイトの増殖や遊走能、またアストロサイト活性化因子の発現の変化を検討するとともに、高齢マウスまたは若齢マウスの培養ペリサイトのconditioned mediumを添加した、または添加していない培養アストロサイトのconditioned mediumを培養OPCに添加して、OPCの増殖や分化、また髄鞘化マーカー発現が加齢によってどのように変化するかをも検討したい。
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