2023 Fiscal Year Research-status Report
髄液中cell-free DNAへの増幅技術による革新的グリオーマ関連遺伝子解析
Project/Area Number |
22K09216
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
安達 淳一 埼玉医科大学, 医学部, 客員准教授 (70291143)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | グリオーマ / CSF / liquid biopsy |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究対象の脳腫瘍の中の、グリオーマは再発、悪性化しやすく、その都度、腫瘍組織を採取して遺伝子解析を行うには人的侵襲が大きい。そこで、最近は組織採取の代用として、低侵襲で脳脊髄液中の腫瘍由来の circulating cell free DNA(ccfDNA) の遺伝子解析を行うことが発達してきている。しかしながら、脳脊髄液由来の ccfDNA は極めて微量であり、遺伝子解析可能な例は限定されているのが現状である。我々は、グリオーマ患者の脳脊髄液中の ccfDNA を in vitro で増幅し、高感度なassay によりグリオーマ関連遺伝子の統合的解析を効率的に行う方法を確立することを試みた。今回、グリオーマ症例の腰椎穿刺で得られた髄液1mlから、Maxwell RSC instrument を用いて腫瘍由来ccfDNAを抽出、精細した。IDH1, H3F3A各遺伝子の変異のホットスポット部位を high resolution melting (HRM) 法で、TERT遺伝子変異については droplet digital PCR 法で、MGMTプロモーターのメチル化についてはメチル化特異的HRM法にて解析した。通常のccfDNAは極めて微量であり、解析不能であったサンプルに対しては、GenomiPhi kit を用いてDNAを増幅し、同様のassay法で解析した。 尚、IDH1, H3F3A, BRAFv600 遺伝子変異の有無については、HRM法の増幅サイクル数を通常よりも10サイクル増加させることで、全例で当該遺伝子変異を検出し得た。以上の増幅方法を用いることで髄液を用いた Liquid biopsyの可能性を高められると考えられた。さらなる、工夫を重ねて、より多数のグリオーマ関連遺伝子解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低悪性グリオーマや髄液腔に接してない領域に発育したグリオーマのように、微量の髄液由来 circulating cell free DNA に対する増幅可能な手技が、ほぼ確立されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなる症例(特に低悪性度グリオーマ)を集積して、本assay 法の感度と特異度を検証する。得られた結果をまとめて論文での公表を行う。
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Causes of Carryover |
研究が想定よりも順調に進行し、試薬代金が予定していた額よりも少額で済んだため。この差額を有効に次年度に繰り込み、増加が予想される症例の解析費用に使用する。
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