2023 Fiscal Year Research-status Report
カルベノキソロンの作用を通して行う脳虚血の包括的メカニズムの解明と治療法の探究
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22K09233
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
甲田 将章 神戸大学, 医学研究科, 助教 (80590843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠山 隆司 神戸大学, 医学研究科, 教授 (10379399)
中井 友昭 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (60596089)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | カルベノキソロン / 脳梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性期脳梗塞に対するt-PA静注療法や血栓回収療法の効果が示されているが、時間的な制約により適応症例は限定的である。急性期治療非適応例をサルベージするためにも、脳虚血のメカニズムの解明が必要と考えている。これまでの検討によって、Heat Shock Protein(HSP)27の誘導が脳梗塞後の抗虚血効果を有することが解明された。HSP27誘導薬であり、かつ、gap junction阻害、炎症反応制御、11β-hydroxysteroid dehydrogenase阻害などの多様な働きを有するcarbenoxolone(CBX)に注目し、現在、研究をすすめている。 中大脳動脈閉塞虚血―再灌流モデルラットにおいて、手技3時間前にCBX(100mg/kg)を静脈内投与し、再灌流24時間後に梗塞巣体積を評価したところ、CBX投与群では、生食を投与した対象群と比較して、梗塞体積が縮小していることが確認できた。運動機能についての検討もおこなったところ、CBX 投与群では、対照群と比べて運動機能の改善傾向がみられた。 同モデルラットの大脳皮質を用いて全組織RNA-seq解析をおこなったところ、up regulateされたハブ遺伝子としてDrd2、Ntrk1が、down regulateされたハブ遺伝子としてIL1βが同定された。同様の結果が、RT-PCRでも確認できた。 ニューロン様細胞であるPC12細胞、および、グリア細胞様細胞SVGP12細胞を用いて、Oxygen glucose deprivation (OGD)を施行し、CBXのin vitroでの虚血保護効果を検証したところ,PC12細胞ではCBX投与によりOGD後の生存細胞が増加した。SVGP12細胞では、CBX投与による生存細胞の増加はみられなかった。さらに、PC12細胞では、CBX投与によってNtrk1発現の増加を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CBXの抗虚血効果の検証をおこなっており、Drd2、Ntrk1など標的となる遺伝子が判明し、さらなる解析をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
CBXの抗虚血効果を詳細に検討するため、再灌流24時間後のみならず、1時間、3時間、6時間、48時間、72時間でのCBX効果の評価をおこなう。さらに、NTRK1やDrd2を介したCBXの効果を確認するため、ニューロン様細胞であるPC12細胞やグリア様細胞であるSVGP12細胞を用いた検討を引き続き行う.
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Causes of Carryover |
中大脳動脈閉塞ー再灌流モデルラットを用いた検討が次年度にずれ込んでいるため。
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