2022 Fiscal Year Research-status Report
硬い線維化腫瘍破砕のための超音波印加パルスジェットを用いた手術機器開発
Project/Area Number |
22K09249
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川口 奉洋 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (10723447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 敦寛 東北大学, 大学病院, 教授 (10447162)
吉川 彰 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50292264)
荒船 龍彦 東京電機大学, 理工学部, 教授 (50376597)
大橋 雄二 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (50396462)
金森 政之 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (60420022)
大谷 清伸 東北大学, 流体科学研究所, 特任准教授 (80536748)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | パルスジェットメス / 下垂体腫瘍 / 超音波 / 神経内視鏡 / 新規医療機器開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
高圧水流を利用した液体ジェットは、熱・粉塵の発生がなく、石や金属などの加工に用いられる切削技術である。本技術を医療に転用され血管温存下に臓器切開・破砕可能という特徴を有している。我々は、これを微小パルス流として発生する技術を2001年に開発した。 神経・血管温存下の腫瘍破砕が可能とするパルスジェットメスの高い組織選択性を利用し、これまでに、神経膠腫や下垂体腺腫に対する摘出術において、摘出率の向上と出血量の減少を報告し、安全性と有効性を示してきた。しかし、線維化した硬い腫瘍に対しては有効な破砕が得られなかった。これに対し、射出される液滴径を減じることで、腫瘍内の線維成分の隙間に射出液滴が進入できるという仮説を立て、射出されるジェット流に超音波を印加し液滴を微粒化することで、組織内浸透性と局所破砕能向上を企図するものである。 本年度の研究期間内に超音波振動素子を作成し、射出するジェット液滴を微粒化させることを企図。振動素子の形状や大きさなどを選択し、最適な射出条件を検討した。次年度以降、本条件をもとに模擬モデルを用いた実験に移行する。 超音波印加による射出ジェット流の微粒化の知見は従来の手術機器ではなし得なかった線維化癒着病変の最大限摘出と機能温存を企図する点で学術的独自性と創造性をもつ。これは、硬い頭蓋内腫瘍の破砕のみにとどまらず、他科手術時の臓器癒着病変の安全な剥離、薬液の皮下浸潤投与技術の向上など、ヘルスケアや基礎研究まで広い波及効果を見込むものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微粒化液体生成用振動子を開発作成した。液体ジェット射出針の形状に合わせ、金属素子の厚みと形状を測定し最適化した。また、印加する交流電界について、周波数ごとに電圧を変化させ、射出される液滴の微粒化に最適な条件を検討した。
結果、周波数を0.1MHzから10MHzまで試行し、インピーダンスが低値となる条件を確認。結果、1.5625MHz、3.7625Mhz、5.9625MHz、8.0625MHz、8.5250MHzでの使用時にインピーダンス値の低下が認められた。以後の実験に際し、これらの条件下で液体ジェットを射出することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した超音波振動素子を液体ジェット射出針に固定し、ノズルの先端と一体化する形状に浮いて検討する。また、液相内と気相内とでの微粒化液体ジェットの流体動態が異なるため、共振周波数と射出条件についてそれぞれ別個に検討する。具体的に、射出ジェット流が有効に組織内に浸透するための最適な距離(Stand off distance)を検討する。これらの条件を最適化したのちに、硬い腫瘍組織の模擬モデルを用いて、破砕および液滴浸透効果を検討する。
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Causes of Carryover |
本研究を推進するにあたり、金属材料研究、流体力学的考察に加え、医工学分野および産学連携を要する。COVID-19感染の世界的蔓延により、対面での意見交換や技術指導がスムーズに行えない場合もあり、計画とは異なる支出となった。進捗状況に応じ、次年度以降適宜修正を加えながら、研究を推進する予定である。
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