2022 Fiscal Year Research-status Report
ゲムシタビンを基軸とした高悪性度髄膜腫に対する新規化学療法の開発
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22K09250
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
吉岡 孝志 山形大学, 医学部, 教授 (90271981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 修平 山形大学, 医学部, 助教 (90637175)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 悪性脳腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
高悪性度髄膜腫はしばしば再発をきたし予後不良となるが、現状の標準治療は外科切除、放射線治療に限られるため有効な化学療法の開発が切望されている。申請者らは世界に先駆けて高悪性度髄膜腫が代謝拮抗薬ゲムシタビンに極めて高感受性であること見出し、さらにその高感受性の分子機序を明らかにした。本課題はこれらの知見に基づき、ゲムシタビンを基軸とした高悪性度髄膜腫に対する化学療法を確立することを目的に、種々の検討を行っている。その一環として申請者らはゲムシタビンが分子標的治療薬everolimusと協調してさらに強力に高悪性度髄膜腫細胞の増殖を抑制することを見出し、その機序が細胞老化(senescence)である可能性を示唆する知見を得た。そこにさらに老化細胞殺傷効果を持つ「senolytic drug」を上乗せすることでゲムシタビン治療の殺細胞性向上が可能か検討したところ、senolytic drugの一つとして知られるnavitoclaxの組み合わせによってより効果的な細胞殺傷効果が得られることが明らかとなった。また、高悪性度髄膜腫動物モデルを用いて併用治療効果を検証したところ、ゲムシタビンにeverolimus, navitoclaxを加えた組み合わせ治療が強力な治療効果を示すことが明らかとなった。本課題では上記のような細胞老化に着目した研究に加え、広くゲムシタビンとの組み合わせによりその治療効果を高められる薬剤、あるいはゲムシタビン耐性高悪性度髄膜腫に有効な薬剤の探索を進めており、それらを通じた多角的なアプローチにより高悪性度髄膜腫に対するゲムシタビンを基軸とした化学療法確立という本課題の目標達成を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当面の目標であった、ゲムシタビン+everolimusにより誘導される老化細胞に作用して治療効果を高めることのできるsenolytic drugを見出し、研究成果を公表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は必ずしもsenolytic drugにこだわることなく、広く高悪性度髄膜腫に対するゲムシタビンの効果を増強する薬剤、あるいはゲムシタビン耐性高悪性度髄膜腫に有効な薬剤の探索を進める。
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Causes of Carryover |
薬剤や物品が想定よりも使用量が少なかったため。次年度以降も研究方針に沿って進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)