2023 Fiscal Year Research-status Report
骨軟部感染症に対するナノポアシークエンサーを用いた薬剤耐性菌と感染経路の同定
Project/Area Number |
22K09311
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
崔 賢民 横浜市立大学, 医学部, 講師 (20760888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 裕 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40336574)
手塚 太郎 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (70748516)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シーケンサー / 感染 / 整形外科 / 人工関節周囲感染 / 脊椎感染 / 化膿性関節炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨軟部感染は診断及び治療に難渋することの多い疾患であり、細菌培養検査では原因菌の同定が困難なことが少なくない。本研究の目的は、骨軟部感染において遺伝子診断の有用性を評価することである。本研究では、次世代シーケンサーであるナノポアシーケンサーMinION MK1Cが、細菌培養偽陰性となりやすい骨軟部感染患者において、原因菌の同定に有用かどうかを評価することである。また薬剤耐性の同定が可能かについて検証し、抗菌薬選択へ応用することと、これらの患者の内因性感染の経路の同定に使用し再感染の予防へ応用することである。 これまでに当院にて手術治療を行ってきた人工関節周囲感染 60例、小児化膿性関節炎 20例、脊椎関節炎患者60例において、DNAの抽出と16sRNA gene領域を増幅したのちにナノポアシーケンサーMinION MK1cを用いて原因菌の遺伝子診断を行なった。ナノポアシーケンサーと細菌培養検査の一致率は80-95%であり、細菌培養検査が陰性であった症例でも、ナノポアシーケンサーによる細菌の同定が可能であった。細菌性DNAの濃度に依存して診断精度の上昇が認められており、細菌性DNAをより効果的に抽出することが、ナノポアシーケンサーによる遺伝子診断と原因菌の同定に重要であることが示唆された。これらの内容については、国内の学会にて報告済みであり、今後英語論文発表を行なっていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細菌感染に対する遺伝子診断では、細菌からのDNAの抽出方法が結果を左右することを検証し論文報告を行った。当院にて手術治療を行ってきた人工関節周囲感染 60例、小児化膿性関節炎 20例、脊椎関節炎患者60例において、ナノポアシーケンサーMinION MK1cを用いて原因菌の遺伝子診断を行ない、ナノポアシーケンサーと細菌培養検査の一致率は80-95%であり、細菌培養検査が陰性であった症例でも、ナノポアシーケンサーによる細菌の同定が可能であることを検証した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在骨軟部組織患者において、皮膚常在菌、口腔内常在菌、糞便常在菌と感染巣部の菌との遺伝子相同性に関する研究を行っている。今後は対象となる患者数を増やし、精度について検証を行なっていくとともに、感染症例においてナノポアシーケンサーが陰性となる患者の特徴などについて検証を行なっていく予定である。
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Causes of Carryover |
概ね計画通りの消耗品の購入を行った。次年度も引き続き検査を遂行する予定であり、余剰分は次年度に使用することとした。
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