2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K09316
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高木 辰哉 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (70317436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 大介 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70638197)
長谷川 延彦 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (70909192)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨転移 / miRNA / cell free RNA / リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「血液で骨転移由来分子を早期かつ高感度に発見する」ということをテーマに、これまでの画像評価、血中の骨代謝マーカー以上の精度で骨転移を診断し、早期に適切な治療を行い、患者の全がん的な予後改善を目的としている。現在の骨転移診断は、レントゲンやCT,MRIなどの画像診断を中心に行われている。しかし、画像診断では変性疾患や感染性疾患との鑑別が困難なことがあり、初期の骨転移の検出にも限界がある。さらに骨転移の診断が確定できない場合、 原発巣の治療方針にも大きく影響する。また、血液検査所見で骨転移の診断に特異的な項目がない点や、そもそも骨転移の診断およびマネージメントに長けた医師が限られていることも臨床的な問題もある。そこで、なるべく身体侵襲の少ない方法で、骨転移を「早期」に「確実」に診断することのできるバイオマーカー の開発に着目して研究を開始した。昨年度は、骨転移を伴う8症例(尿路上皮がん、乳がん、上咽頭がん、膵臓がん、乳がん、子宮肉腫、胃がん、エナメル上皮がん)の原発巣、骨転移巣、骨転移発覚時の血液検体の収集を行い、骨転移関連マーカーの評価を行う準備を行った。そして本年度は、まずは骨転移4検体を対象にmiRNAアレイによる遺伝子発現解析を行った。現在までにすべての骨転移検体で共通して発現異常を認めるmiRNAを80種類同定した。今後はこれらの症例の原発巣、骨転移巣、正常部、血漿中のcell free DNA(cfDNA)の遺伝子変異解析、コビー数解析を行っており、骨転移関連マーカーの探索、cfDNAとの一致率を検証を進めていく。その結果をうけて、RNAをもちいた発現解析やmiRNA解析を検討し、様々な方向から骨転移マーカーの探索と血液検体との比較解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は骨転移、原発巣、血液検体の揃った症例を8症例収集し、骨転移マーカー解析の基盤を整えた。本年度は骨転移の臨床検体よりRNAを抽出し、RNAの質を確認した後に、マイクロアレイを用いてmiRNAの発現を網羅的に調査した。すべての検体で発現が上昇していたmiRNAについて、マイクロRNAのデータベースや文献情報を参考にして、標的遺伝子の探索を進めている。予想していたよりも多くの候補が見つかったことにより、データ解析に予定よりも多くの時間を要し、研究にやや遅れを生じている。今後は、引き続き、原発巣、骨転移巣、正常部、血漿中のcell free DNA(cfDNA)の遺伝子変異解析、コビー数解析についても継続していく。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は、骨転移マーカー探索のパイロットスタディとなる症例を収集した。そして本年度は骨転移の臨床検体よりRNAを抽出し、RNAの質を確認した後に、マイクロアレイを用いてmiRNAの発現を網羅的に調査した。すべての検体で発現が上昇していたmiRNAについて、マイクロRNAのデータベースや文献情報を参考にして、標的遺伝子の探索を進めている。想定よりも多くの候補遺伝子を発見しているため、さらに追加の骨転移検体を用いて発現検証を行い候補遺伝子の絞り込みを進めていく予定である。また、miRNA以外の遺伝子についてもDNA、RNAレベルでの解析も行い、予想される骨転移関連因子候補を中心に、治療タイミングに応じた血液検体の収集を行い解析し、臨床的有用性を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度、施工したmiRNAマイクロアレイは、まずは一部の症例(4症例)のみを用いた解析としたため、網羅的発現解析に要する予算について、次年度使用額が生じた。また、核酸抽出、PCR、cDNA合成、シークエンス解析に関わる試薬については、既存のものを使用したこともあり、当初の予定よりも予算を抑えて解析することが可能であった。使用しなかった今年度分の予算については、次年度以降の核酸抽出、cDNA合成、PCR、リアルタイムPCR、 シークエンス解析に関わる消耗品に使用する予定である。
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