2022 Fiscal Year Research-status Report
肉腫細胞をターゲットとした蛍光L-グルコースによる新規診断・治療法の開発
Project/Area Number |
22K09322
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大鹿 周佐 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (40431449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 勝也 弘前大学, 医学研究科, 特任教授 (40241666)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肉腫 / 蛍光L-グルコース / 糖代謝イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性悪性骨・軟部腫瘍(肉腫)は、その希少性と多様性から診断や治療に難渋することが多い。我々は、正常細胞にほとんど取り込まれないが、がん細胞に選択的に取り込まれる可能性のある蛍光L-グルコース(2-NBDLG、CLG)に注目した。すでに骨肉腫細胞における2-NBDLGの取り込みをin vitroで確認したが、CLGの腫瘍識別能と抗腫瘍効果も期待される。本研究の目的は、 肉腫細胞が蛍光L-グルコースを取り込むかどうかをin vitroおよびin vivoで評価すること、2-NBDLGとCLGの腫瘍識別能の違い、CLGの抗腫瘍効果を検証することである。 また本研究の先行研究として、高い浸潤能と抗がん剤抵抗性を有し再発や転移の原因となりうるside population(SP)細胞における蛍光グルコース(2-NBDG、2-NBDLG)の取り込み評価を行った。骨肉腫細胞株U2OSを、抗がん剤であるドキソルビシンを培地に添加して長期培養を行うことで、Hoechst33342を排出するSP細胞が有意に増加した。それらの薬剤排出能はverapamilによって阻害され、排出の主体はABCB1によるものであることが分かった。また、SP細胞は非SP細胞と比較して、2-NBDLG取り込みの割合が増加しており、蛍光グルコースの代謝評価が薬剤耐性を有する細胞集団を識別できる可能性が示された。 上記先行研究が順調に進んだことから、今後は予定通り2-NBDLGとCLGの腫瘍識別能の違い、CLGの抗腫瘍効果を、in vitroとin vivoのどちらでも明らかにするための研究を進める方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Side population細胞(SP細胞)は高い浸潤能と抗がん剤抵抗性を有し、再発・転移の原因となりうるが、実臨床でそれらを識別できる画像診断技術は開発されていない。蛍光L-グルコース(2-NBDLG、CLG)を実臨床で応用するためにも重要な先行研究と判断して、まずはSP細胞の研究を進めた。その結果、ドキソルビシン培養を行うことでU2OSからSP細胞を採取し、2-NBDLGの取り込み評価を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の前期では、U2OSに加え、研究協力者から譲渡していただいたヒト由来肉腫細胞株(未分化多形肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍)も用いて、蛍光L-グルコースの取り込みをin vitroで評価する。2023年度の後期からは、ヒト由来肉腫細胞株ゼノグラフトモデルにおける蛍光L-グルコースの取り込み評価も行いたいと考えている。2-NBDLGとCLGの腫瘍識別能の違い、CLGの抗腫瘍効果を、in vitroとin vivoのどちらでも明らかにするための研究を進める方針である。
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Causes of Carryover |
昨年度は、以前から保存していたドキソルビシン耐性のヒト骨肉腫細胞株USOSを用いて2-NBDLGの取り込みに関する実験を行い、試薬の使用も予定より少額で済ませることができた。本年度はCLGの取り込みに関するin vitro研究を予定しており、U2OS以外の細胞株も使用する予定であり、そのための実験試薬の購入が必要である。またin vivo研究も進めるため、動物実験のためのマウスや試薬の購入も検討している。
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