2023 Fiscal Year Research-status Report
膜タンパク陽性エクソソームによる脊柱靱帯骨化の疾患活動性評価法の開発と機能解析
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22K09327
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中嶋 秀明 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (10397276)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脊柱靱帯骨化症 / エクソソーム解析 / 疾患活動性評価 / バイオマーカー / 共培養 / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
脊柱骨化靱帯由来培養細胞を用いたエクソソーム解析という新たな手法を用い、疾患活動性指標や治療ターゲットとなり得る因子の解析を行っている。 培養細胞は、胸椎黄色靭帯骨化症(OLF)および頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)の手術時に採取したサンプルを用いた。対照として非OLF/OPLL由来の培養細胞を用いた。in vitro 実験では、OLF/OPLL由来培養細胞と非 OLF/OPLL由来培養細胞を、ウェル間に 0.03 μm または 1.2 μm のフィルターを設置した水平共培養システム(NICO-1)で共培養した。骨分化誘導培地で1、2、3週間培養後、骨分化をALP染色/アッセイおよびアリザリンレッドS染色により評価した。次に、OLF/OPLL由来培養細胞と非OLF由来培養細胞の上清からエクソソームを採取し、エクソソーム解析(プロテオミクス)・比較発現解析を行った。 水平共培養において、1.2μmフィルター(エクソソームが浸透)を用いた共培養では、0.03μmフィルター(エクソソーム非浸透)と比較し、非OLF/OPLL由来細胞の骨分化が促進された。エクソソーム解析では、①非OLF/OPLL由来と比較してOLF/OPLL由来のエクソソームで増加、②骨化程度によって増加、③エクソソーム膜タンパクであるという3条件を満たす因子として、3因子を同定した(英文論文として発表予定)。 in vitro実験の結果は、骨化した靭帯由来のエクソソームが骨分化促進に関与するという仮説を支持する。エクソソーム解析から得られた候補タンパク質は、脊椎靭帯骨化症の疾患活動性のバイオマーカーや治療ターゲットとなる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通りに進行しており、今年度までの結果は英文論文投稿準備を行っている。2023年7-9月には、本研究推進のため、英国の研究施設への短期出張を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
エクソソーム解析の結果による疾患活動性候補蛋白について英文雑誌に報告し、さらにこれらの因子に対するバイオマーカーとしての有用性の検証や、抗体を用いた骨化抑制効果について研究を継続する予定である。
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Causes of Carryover |
補助事業の誠実な執行に努めた結果、当初計画より経費の使用が節約できたことにより未使用額が生じた。 当該未使用額を次年度に持ち越して追加の試薬・抗体・消耗品等購入する。
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